介護従事者 10年後500人不足/宮古島市
20年後は1000人と推計/予防事業、人材育成課題に
宮古島市内の介護従事者が10年後には500人、20年後には約1000人不足することが見込まれている。市では「健康な高齢者」を増やし介護認定をできるだけ後年次に先送りするための予防事業の推進や介護従事者の育成が課題だとしている。現在も人手不足を理由に事業所の閉鎖が相次いだり、観光業などへの人材流出もある。また県の調査によると従事者年齢が50歳代の割合が多くを占めるなど介護現場は厳しい状況だ。
市内には訪問介護や通所介護、介護保険施設など大小合わせて約80の事業所がある。市の調査によると昨年秋の時点で、介護事業所で働く人は約2100人だった。市の生産年齢人口(15歳~64歳=2万9710人)の7%に相当する。この割合を基に、市の人口ピラミッドから、将来の介護事業を取り巻く状況を、市の担当課が推計した。県の調査では介護従事者の年齢は50歳代が多くを占めることが分かっており、推計より状況は厳しくなりそうだ。
推計によると、要介護認定者は2020年に3254人、25年3368人、30年3507人、35年3809人、40年4165人と増加する。
一方で生産年齢人口は20年2万7590人、30年2万4088人、40年2万1518人と10年間で13%、20年間で22%と急激に減少する。伴って介護従事者も20年1950人、30年1698人、40年1521人と減少する。現在と同じ生産年齢人口の7%相当の介護従事者が必要だとすると30年には500人、40年には991人が不足すると見込まれる。
市の18年度の介護認定率を見ると、65歳から74歳までは4・8%程度だが、後期高齢者といわれる75歳以上になると認定率が加速度的に上昇する。75~79歳が16・0%、80~84歳が28・5%、85~89歳が56・7%、90歳以上では85・1%とほぼすべての市民が認定される。
市高齢者支援課の嵩里公敏課長は「年齢が高くなれば介護のリスクが高まる。団塊の世代の人たちが75歳を迎える30年ごろから厳しさを増すだろう」と話し、「予防事業を実施し健康な高齢者をいかに増やすか。併せて介護の担い手の育成も重要」と説明した。