行雲流水
2019年6月29日(土)8:54
【行雲流水】(繁栄の影)
6月27日の宮古毎日新聞1面トップ、那覇支社配信記事「賃貸物件稼働率」を読みながら思い起こされたのは放置空き家と家賃高騰のことであった。賃貸物件が「島内全域で不足している」ことは「建築工事等による法人の借り上げ需要が増加の要因」と分析するのはおきぎん経済研究所である
▼いま、宮古島は建設業界といい観光産業といい素人目にも隆盛を極めている。世の中が活気にあふれているとその陰の部分は見落されがちだ。島外からの労働者や新天地を求めての来島者でマンションやアパートといった賃貸住宅の需要は増加する反面空き家となっている戸建て住宅は放置されたままではないだろうか
▼誰も住まなくなったとはいえそこには家族の歴史がある。育て上げた子供たちは親元を離れ、最後まで住んだのはこの家を建てた主であろう。年老いた夫婦だけのくらしがいつの間にか一人だけ取り残され、とうとう空き家になってしまい顧みる人もいないというのが現実ではないのか
▼数十年のときを経て老朽化した家屋は地域や行政から邪魔なもの扱いで取り壊しを待つだけだ。そこにもまた新たな賃貸住宅が立ち、そこに住む人も何処からともなく来た人々だとあたりの景観は一変して地域の姿が変容する
▼さらに、賃貸物件の需要増に伴う家賃の高騰は低所得者が住み慣れたアパートを追われることになりかねない状況になっている。行政はこのような状況を無視することなく救済処置を考える必要があるのではないか
▼行政として取り組んだ地域活性であるが急激な社会の変容は行政の手に余る状況のような気がするのは私だけだろうか。