野鳥の飛来環境整備へ/環境省
来月上旬 池間湿原水域拡大に着手
那覇市にある環境省沖縄奄美自然環境事務所は8月上旬から、国指定池間鳥獣保護区保全事業に着手する方針。池間湿原に仮設作業道路を作り、水面下の堆積物を除去し、鳥類が集団で飛来して過ごしやすい水域を拡大する。16日、同所への取材で分かった。
同所によると、この事業は6年計画を予定し、今年度は工事費に2200万円を投じる予定。
工事は池間湿原野鳥観察台近くから進め長さ160メートルの仮設作業道路を石積みで整備。道路先端部分を含めた一帯のしゅんせつは180立方メートルを計画している。しゅんせつ工事完了後、仮設作業道路は撤去される見通し。
同所は現状の課題で「特に渡り鳥等の利用率が高い池間湿原では、近年腐植土の堆積や抽水性水草・外来植物の繁茂等による環境の劣化に伴い、確認できる鳥類数が著しく減少している」と指摘している。
この湿原は、島のほぼ中央にあり、県内最大で、宮古唯一の淡水湿原。面積は約38ヘクタールあり、島の面積の約13%を占める。
島の北側にある池間湿原は、かつては天然の入江だった。1964(昭和39)年以後、池間漁港のしゅんせつ工事の本格化に伴い、大量の泥土や砂れきなどが入江方面へ投入された。公有水面の大部分は埋め立てられ、取り残された北側部分は孤立化し、雨水の影響で淡水化した。
その後、水草の繁茂で陸地化が進み、水域は狭くなった。それが原因で、渡り鳥の飛来が減少している。