宮古全域に分布拡大/害虫ナスミバエ
県、防除講習会を開催
宮古では病害虫のナスミバエがナス科野菜のシマトウガラシ、ナス、ピーマンなどの果実に寄生し腐敗させる被害が広がっている。植物防疫法による移動規制の対象でないため、宮古全域に急速に分布を拡大。過去2年でシマトウガラシの寄生地点率が最も高かったのは伊良部で40・0%、次いで多良間村33・3%。宮古島は24・6%だった。2日に宮古青少年教育センターで開かれた2019年度ナスミバエ防除講習会(主催・県宮古農林水産振興センター)で明らかにされた。
講師に県病害虫防除技術センター特殊害虫班主任研究員の谷口昌弘さんが招かれ、講座で「沖縄県におけるナスミバエの発生状況と防除対策」と題して講話した。農業改良普及員やJA営農指導員、農薬販売担当者、行政の関係者など約30人が参加し、熱心に聞き入っていた。
谷口さんは「ナスミバエは、輸入検疫対象害虫であるミカンコミバエやウリミバエのように国内の移動規制はない。しかし、国内では当初沖縄県のみが発生地域であったため、その扱いが曖昧だった」と述べた。
日本では、1984年に与那国島でナスミバエを発見。2010年に沖縄本島の中城村で発生を確認した。宮古では2017年に発生が確認された。
県内では、関係機関がナスミバエまん延防止・防除対策として薬剤散布、寄生植物のテリミノイヌホウズキや野良トマトなどの徹底除去を指導している。
谷口さんは「ナスミバエの多発ほ場は、薬剤防除がほとんどされない家庭菜園やシマトウガラシほ場である。経済栽培のナス科果菜類では、施設・露地栽培ともに被害がない」と強調した。
さらに「早期にナスミバエ防除マニュアルを作成し、被害が多発するシマトウガラシの安定生産を図ることにしている」と今後の方針を話した。