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スポーツ
2019年8月28日(水)8:59

沖縄一周駅伝、廃止へ/沖縄陸協

交通量増え安全重視/市関係者からは落胆の声


2014年の第37回大会。25年ぶり6度目の優勝を飾り当時の本村邦彦監督を胴上げして喜ぶ宮古島市のメンバー。歴史を重ねた大会が幕を閉じようとしている(資料写真)

2014年の第37回大会。25年ぶり6度目の優勝を飾り当時の本村邦彦監督を胴上げして喜ぶ宮古島市のメンバー。歴史を重ねた大会が幕を閉じようとしている(資料写真)

 沖縄陸上競技協会(沖縄陸協)が主催する県内最大規模の駅伝「沖縄一周市郡対抗駅伝競走大会」が廃止される見通しだ。来年予定されていた第43回大会も中止の方向。県内の旺盛な観光需要に伴う交通量の急増を踏まえた判断で、公道を走る選手の安全確保を重視した。理事会で決めた。沖縄陸協は9月2日に各市郡の関係者を集めて理解を求めるが、過去6度の優勝を誇る宮古島市の関係者からは落胆の声が漏れる。

 沖縄陸協の事務局が本紙の取材に対して廃止する方針を認めた。事務局は「公道を走る選手の安心、安全を確保するという競技運営が限界にきている」などと厳しい現状を説明した。

 過去には関係車両が接触事故を起こしたり、交通違反で切符を切られたりした例もあるといい、「これまで多少無理をしてでも開催してきたが、事故に巻き込まれてしまうのではないかという不安が尽きない」と運営側の心労を吐露。常に危険と隣り合わせの競技運営を「綱渡り状態」と表現しながら、安全確保を大会廃止の主な理由に挙げた。

 沖縄本島をほぼ一周する規模の駅伝に代わる競技の実施に関しては白紙の状態だという。「選手や体育協会など関係者の気持ちは本当に分かるが、今のところ代替案はない」とし、大会廃止後に議論を煮詰めたいとする考えを示した。

 宮古島市の選手として5回、監督としても1回の優勝経験を持つ市陸上競技協会の本村邦彦会長は「気持ちとしては非常に残念だ。関係者も一様にショックを受けている」と落胆の色を隠さない。「一周駅伝を走ることを目的に各市郡の選手は頑張っている。結果として宮古島市だけでなく県全体のレベルアップにつながる大会だっただけに中止は残念だ」と繰り返した。

 県内長距離界をけん引する宮古島市のエース與那嶺恭兵さん(琉球物流)も廃止方針を悔しがる。「とても反響が大きくて、長距離の関係者だけでなく、短距離の方からも心配の声が届いている」と事の重大性を強調し、「沖縄の長距離界の育成のことを思えば決定は残念という他ない。本当に中止で良いのか。一選手として何ができるのかを考えてみたい」と話した。

 沖縄一周市郡対抗駅伝競走大会は、14市郡で争う県内最大規模の駅伝。沖縄本島をほぼ一周する。宮古島市は1984年の第7回大会で初優勝し、その後は5回頂点に立った。87年の10回大会からは3連覇を達成している。今年の第42回大会は31区間287キロで争われ、総合7位だった。


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