「理由は弁護士発言」/総務財政委
市民提訴で市が見解/法廷内主張も「名誉毀損」
開会中の市議会9月定例会は10日、総務財政委員会(山里雅彦委員長)が開かれた。市が提案した市民6人を名誉毀損(きそん)で訴える議案を審査した。与野党から当局見解をただす質問が集中。市は提訴理由は市民6人の発言ではなく、代理人弁護士の報告会での発言であるとの見解を示した。また、法廷内における原告側主張も名誉毀損に当たるのかについても「(本会議で)長濱政治副市長がそう答弁しているのであればその通り」と述べた。委員の質問に宮国高宣総務部長が答えた。代理人弁護士は「行政に対して市民が声を出せなくなる。スラップ(恫喝)訴訟の色合いが強い」と話した。
同問題は、市が2014年度に行った不法投棄ごみ撤去事業で市に損害を与えたとして、同事業の予算額2251万円などを市が下地敏彦市長らに請求するよう求めていた住民訴訟が発端。
この訴訟は最高裁で棄却されたが、それを受けた原告側の報告会における主張を市側が問題視し、今定例会に提訴に向けた議案を提案した。
市側が提訴する理由の一つとしている報告会での主張について「誰の発言との認識か」について問われた宮国総務部長は「代理人と解釈している」と述べた。
「報告会で裁判の経緯を報告した代理人の発言がなぜ、原告だった市民6人を名誉毀損で訴えることになるのか」との質問には「代理人は原告側の気持ちを踏襲して裁判を行うわけで、一心同体との認識」と述べた。
別の委員からは「市が市民を訴えるとなれば、市職員も原告側になる。アンケートを取るなど、市職員のコンセンサスを得る必要もあるのでは」とただしたのに対し、宮国総務部長は「アンケートはやっていないし、やる予定もない」と述べた。
今回の住民訴訟では、高裁の判決時に、市の担当者について「極めてずさんな事務処理」と認めていることについては「(原告側は)『不正な行政手法は許されない』との主張。『ずさん』と『不正』は違う」と話した。
原告側代理人だった喜多自然弁護士は、宮古毎日新聞社の取材に「(弁護士を提訴対象者から除外している)本当の意図はわからないが、資格で守られている弁護士を外して立場の弱い市民だけを狙っていると感じる。行政に対して市民が声を出せなくなるし、スラップ(恫喝)訴訟の色合いが強い」と話した。
「そもそも、私のどの発言をとらえて名誉毀損としているのか分からない。裁判を起こすだけの根拠があるのかについても、その違法性についても根拠が薄弱」との見解を示した。
同議案は11日の総務財政委員会で採決される。