平和で安全な「島」に/展望
島国「日本」、島しょ県「沖縄」、「宮古島」
米軍基地のない宮古島にとって、昨年1年間は米軍の存在がこれまで以上に注目を集めた年となった。
昨年9月には県と市議会の自粛要請を押し切って米軍艦が初めて平良港へ入港。さらに12月には米海軍第7艦隊音楽隊のバンドスタッフ(25人)と荷物の輸送で米海軍所属の人員輸送機「C-9」が宮古空港を強行使用するなど、島の海と空の玄関を米軍が利用することに住民は「NO」の声を突き付けた。
一方、県全体では、米軍普天間飛行場の県外移設を撤回し、県内移設へと方針転換した民主党政権への県民の「怒り」が爆発。
昨年11月の県知事選では、事実上の一騎打ちとなった仲井真弘多氏、伊波洋一氏とも県内移設を拒否し、仲井間氏は「県外移設」、伊波氏は「県内移設反対、国外移設」と訴え、辺野古移設を認めない両氏の公約に対し、県民は仲井真氏の続投を選択した。
12月には菅直人首相が来県し、仲井真知事と面談。普天間飛行場の名護市辺野古移設に理解を求める菅首相と仲井真知事との溝は埋まらず、現在も問題解決の糸口は見えていない。
普天間飛行場移設問題が混迷を深める中、昨年4月には、潜水艦2隻を含む10隻の中国海軍の艦艇が宮古島と沖縄本島の間の公海上を航行しているのを海上自衛隊の護衛艦が発見。
さらには、尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に衝突した事件など、宮古を含めた沖縄周辺の海域における緊張感は強まっている。
そうした中、下地島空港をめぐっても、自衛隊の利用を下地幹郎衆議院議員が北沢防衛長官に国会で求め、北沢長官も興味を示している。
島国「日本」、島しょ県「沖縄」、そして宮古島。それぞれの「島」を取り巻く環境はそれぞれに難題を抱えている。
「平和」と「安全」を確保するため、それぞれのリーダーたちの指導力が求められている。