市民生活 充実の年に/市長インタビュー
地域の均衡発展へ
2010年を振り返って
2010年度の施政方針の中では活力のある宮古島にしたいということを掲げ、行政を進めてきた。この1年間は活気があった思うし、そして新年に向けての期待が持てる、希望を与えることのできた1年だったと思う。
環境モデル都市へ着実に歩み出した
明るい話題としては城辺にメガソーラーの実証実験施設が完成したこと。太陽光を利用し、平均的な世帯数で5000世帯分の電力を賄うことができる施設。太陽光を利用した大量の電力を安定的に利用できるシステムが完成すれば、宮古島全体で自然エネルギーを活用したクリーンで二酸化炭素排出を抑えた、国内外に対してもアピールできる良い島になれると思う。メガソーラーのほか、一般の家庭でも太陽光発電施設への関心は高まっているし、E3の実験も始まった。環境モデル都市が着実に一歩一歩歩み出した1年だったと思っている。
口蹄疫対策で畜産農家一丸
農業分野では口蹄疫の問題。日本全国を震撼させ事件だったが、宮古の畜産農家は一丸となって口蹄疫を入れない対策を取ったおかげで無事乗り越えることができた。ただ昨年末、韓国でまた発生した。今後も防疫体制をしっかりしていきたい。
サトウキビは一昨年、昨年と本当に豊作だった。34万㌧という近年まれに見る大豊作で、また来期に向かってサトウキビを生産する意欲が大いに湧いた1年だった。
昨年は「マンゴーまつり」も開催した。宮古島は県内はもとより日本一のマンゴーの産地。品質、味、色ともに全国一だと思っている。第1回のまつりを通じてそのPRが手掛けられたと思う。宮古の和牛のブランド化を図るため「宮古牛まつり」も開催した。今後、肥育牛の育成も取り組んでいきたい。
水産業では伊良部漁協と池間漁協に製氷冷蔵施設を作ることができた。最新の施設整備をして鮮度の良い魚介類を提供することで、漁協がますます力を付けてもらえるとありがたいと思っている。
陸上競技場の全面改修実施
教育面では、陸上競技場の全面改修を手掛けることができた。これまではトラック部分が波打っていて、走るのに危険と言われてきた。全面改修することで競技を楽しむ人、選手として頑張る人も大いに活用できると思う。メーンスタンドも3月までには完成するので、県の陸上競技大会の誘致にも取り組んでみたい。
学校規模適正化問題では、子どもたちの教育環境を整えることが急務と考えている。それに向け、地ならしの作業を始めておかなければ本当に大変なことになるとの思いがあった。高度成長期の時代には爆発的に人口が増え、新しい学校をどんどん作っていった。今はその逆の方向に動いている。そうした状況の中で子どもたちの教育環境をどう考えるかということが第一の問題。3~5人の小規模校でほかに友達がいないという状況は子どもたちにとって不幸だと思う。適正な規模の中でもまれることで社会性が身に付く。そういう教育環境を整えることが必要。学校がなくなれば地域がすたれるとの意見もある。それは分からないではないが、子どもたちの教育環境をしっかり整えるという視点で物事を判断すべき。地域の振興は、また別の視点で政策を考えればいいと私は思っている。
昨年、発生した公金の持ち出し紛失問題。公務員のモラルというものをきちんと職員に認識して仕事をしてもらうと、機会あるごとに職員には言ってきたが、十分に浸透しない部分があったということは本当に残念で無念。私たち市役所の職員というものは市民の公僕であるという認識を忘れてはいけない。常に襟を正して市民の負託に応えるよう誠実に仕事をするよう、これからも職員と語り合いながらしっかりとやっていきたい。
今年は元気であると同時に充実した生活ができるということを目指したい。元気で充実した生活に必要なものの一つが宮古病院。皆が健康でより良い医療サービスを受けられるようになるため、宮古病院が新しく着工される。女性を対象とした子宮頸がん予防ワクチン接種も始まる。医療、福祉、健康をしっかりしなければいけないと思っている。
宮古をもっと元気にするという意味で「生まり島ミャーク大会」を開催するほか、これまでなかった「海族まつり」という総合的な海のまつりを開催してますます活力ある形にしたいと思っている。
地域活性化へ事業の導入を
地域の活性化を図り、均衡ある発展を図るという意味で、いろいろな事業を導入しないといけないと思っている。天然ガスの開発も旧町村部で行うなどバランスの良い開発を行っていきたい。都市機能を旧平良市だけでなく分散して整備する形を今、考えている。それぞれの地域に人が集まれるような事業を進めて、宮古全体がバランスの良い定住ができるようにしたい。
行政のスリム化と職員に質向上図る
合併特例措置の段階的削減が始まる5年後に向け、市の財政をもっと健全化しておかなければならない。その一方で、やらなければならない大型の事業がたくさんあるという相矛盾するものを抱えている。やはり無駄をなるべく削減する、行政改革を進めながらやっていくというのがオーソドックスなやり方だと思っている。職員は人前後が3~4年続けて定年退職を迎える。それに伴い行政のスリム化ができるのと思っている。その反面、これだけたくさんの人が短期間のうちに辞めていく訳なので、職員の質の向上というものを同時に図らなければならないと考えている。大型事業を入れることで企業の活力が出れば、市税が増える可能性もある。
農業振興策としては、サトウキビの年内操業を今年はぜひやりたい。年内操業をすることで次の操業までの期間、土地が余る訳だから植えれば必ずもうかる。年配の人はサトウキビ以外のものはやりたくないと思っているかも知れないが、やはり活力ある農業にするためには、若い人と一緒になって取り組むことを考えてほしい。もうかることが分かれば、それが刺激材料となって取り組む農家も増えていって、宮古の農業もサトウキビ一辺倒からほかの作物への転換というものが図られると思う。その良い事例がマンゴー。もうかることが分かって、今かなりの農家がマンゴーをやっている。そういうこと考えるとほかの作物でも「あの作物はもうかる」となれば、いろいろなものが出てくると思う。
観光のポイントは農家民泊と会話
観光でポイントとなるのは農家民泊。宮古の民泊がおもしろいのは、ほとんど宣伝をしていないのに、口コミで広がって言っている。口コミの宣伝をしっかりとやっていけば宮古の観光はほかの地域と違う形で増えていくと思う。宮古の人は話をすると楽しい。民泊の楽しみは人と人の会話。また来たいというモチュベーションも会話だと思う。そういう意味では民泊の活用が宮古の今後の観光を大きく左右する一つの要素だと思う。
来間、多良間島電力を自然エネへ
環境モデル都市として今、国とやり取りしているのは、来間島と多良間島を自然エネルギーで全部賄おうという計画。小さな島と中くらいの島でうまくいけば、今度は宮古本島も実施できる。今、経済産業省と話をしていて、これが今年、芽を出すかはこれからの交渉次第だが、今までの個別の実証実験からワンランク上がった、より実用的な事業をしたいと思っている。
環境モデル都市として自然エネルギーを利用することに目が向いているが、一番大切なのはこの島をきれいな島にすること。だからごみ処理問題、空き缶などのポイ捨て、こういったことは市民レベルでできること。地道な運動だがしなければならないと思っている。
花いっぱいの島へ専門家に構想依頼
新しい取り組みとしては熱帯植物園の中に「花の王国」のような一年中花が咲き乱れるようなフラワーガーデンを手掛けてみたいと思っている。今、世界的なガーデナーの石原和幸氏に依頼して構想を練ってもらっている。宮古らしい熱帯植物、熱帯フラワーを中心としたものを作ってもらって花いっぱいの宮古島にしたい。そのための一つの起爆剤となるのが花の王国。植物園で熱帯の花を年中咲かせることができるか、台風に耐えるためにはどうすれば良いかなどの取り組みをやってみて、可能となれば次は伊良部に花の王国を作りたい。
皆の協力で市政運営を
市長になって2カ年間、これまでゆったりと進んできた市政をスピーディーにやろう、正確にやろう、親切にやろうという形で取り組んできた。少しずつ職員も私の考えを理解してもらい、それができつつあると思っている。市政運営は一人ではできない。職員が本当に一致協力してもらわなければ、これだけの大きな組織なので機能しない。ぜひ今年も職員をはじめ全市民の協力をもらい頑張っていきたい。