アオドウガネが急増
誘殺灯で650万匹捕獲/JA、被害対策呼び掛け
サトウキビの生育を阻害するアオドウガネが急増している。2019年5~7月に誘殺灯で捕獲したアオドウガネの成虫が650万匹に上ることが市のまとめで分かった。この捕獲数は関係機関が総力を挙げて駆除にかかっていた10年前と重なる。一定程度の警戒は必要だ。JAおきなわ宮古地区営農振興センターさとうきび対策室は「今すぐに被害が拡大するとは考えていない」としているが、新植時の粒剤散布や株の適時更新を呼び掛けている。
アオドウガネ被害は、サトウキビの根が幼虫に食害されて起こる。被害が大きい場合は株全体が枯死することもある。このため、関係機関が長年にわたって駆除作業を実施してきた。
今年の捕獲作業では5月に366万匹、6月に248万匹、7月には36万匹を捕らえた。10年ほど前から減少の一途をたどり、14年度になると200万匹以下まで抑え込んでいたが、今年は計650万匹と10年前の水準に戻っている。
関係機関は「成虫は確実に増えている」という見方を強めていたが、その実感が数字で表れた形だ。
捕獲数急増の一つの要因に、誘殺灯の設置台数が挙げられる。2006年度は1300基あった誘殺灯が18年度は816基に。相対的に捕獲数が減少した。
関係機関が危機感を共有し、今年度は400基増やして1216基を設置。これが功を奏し、成虫の捕獲数が増えたとみられる。
また、サトウキビ栽培の作型の変化も大きく影響している。夏植え一辺倒のころは新植前の耕運で地中の幼虫を駆除できたが、今は株出しが主流。耕運の機会が減り、地中の幼虫がふ化する確率が格段に上がったと考えられている。
アオドウガネは6月ごろに産卵すると言われ、新植夏植えのほ場では耕運作業や薬剤散布による駆除が期待されるが、春植えや株出し栽培のほ場では一定程度の警戒が必要になる。
JAのさとうきび対策室では「今すぐ被害が拡大するとは考えていない」としているが、新植の際には粒剤の散布を徹底することや反収(10アール当たり収量)増にもつながる株の適時更新などを促している。