伊良部浄水場 再稼働も視野/宮古島市
安定供給向け審議会/新水道ビジョン策定へ
宮古島市の新しい水道ビジョンを策定する審議会が10日、発足した。第1回会合が市の上下水道部で開かれ、委嘱された委員が市の水道事業の現状や課題を共有した。この中で、休止中の伊良部浄水場の再稼働を視野に入れて検討を進める方向性を確認。観光客の急増で活況を帯びるリゾート開発に伴い、不足が懸念される水源水量に対応する。
水道事業の指針となる新水道ビジョンは2020年3月に策定する。計画期間は20年度から29年度。
リゾート開発による給水人口および給水量の増加や管路の老朽化という現実的な課題を踏まえ、財源確保を含む効率的な事業運営のために計画を策定する。経営戦略も立て、投資・財政運営の適正化を図る。
委員は沖縄水道管理センター顧問の米田善治氏、伊良部地区地域づくり協議会会長の比嘉臣雄氏、宮古島観光協会事務局長の根間春仁氏、宮古管工事業協同組合理事長の渡真利剛氏、元市職員の根間博信氏。委員長は米田氏が務める。
第1回会合では、事務局から計画策定の趣旨やスケジュールのほか、市の水道施設の概要および水需要の推移が示された。委員は現状を整理し、計画策定に向けての課題を確認した。
この中で、維持管理のコスト高などを理由に現在休止している伊良部浄水場の話が持ち上がった。委員の比嘉氏が「伊良部島のリゾート開発は想像を絶するスピードで進んでいる。このままでは島が成り立つのか心配だ」と話し、伊良部浄水場の取り扱いについて事務局側の考えを聞いた。
これに市上下水道部の兼島方昭部長が「伊良部ではホテルなどの建設がすさまじい」とした上で、「まだ確定ではないが、今後再稼働を視野に入れて検討していきたい」と述べ、水の安定供給に向けて伊良部浄水場の再稼働を選択肢から外さない考えを示した。
このほか、さまざまな人口予測に照らして将来給水量の見通しを分析。既存の水源水量で水不足が生じないよう対策を講じることの重要性に理解を深めた。
市の水道料金が県下水道事業体と比較して5番目に高いことも確認した。理由は市町村合併で給水区域が拡大し、管理する配水池や管路が膨大になっているため。事務局が説明した。
水道ビジョンの策定に向けて米田委員長は「肝心なことは、将来的に水が足りるかどうか。委員みんなで知恵を出し合って議論を深めたい」と述べた。