神歌に合わせ踊り奉納/伊良部南区で「ユークイ」
旧年中の五穀豊穣に感謝
伊良部南区の長浜、仲地、佐和田、国仲の4集落で14日、伝統の豊年祭「ユークイ(世乞い)」が執り行われた。4集落の住民らは、各集落に縁のある御嶽(うたき)で、旧年中の五穀豊穣(ほうじょう)に感謝し、来期の豊年満作、無病息災を願った。
ユークイの「ユー」は富、富貴、実り多い豊かな世などの総称。「クイ」は神に乞い願う意味。
仲地御嶽では、神に仕える女性のツカサ(司)を中心に輪を作り、神歌や民謡に合わせて歓喜の踊りを奉納した。
住民や来賓の男性たちは敷物の上で車座となり、神酒を回して飲んだりした。
長浜自治会の立津義一会長(72)は「伝統を継承し発展させてきた。これからは若者たちが継承し、ユークイを続けてほしい」と期待を込めた。
長浜青年会の羽地竜信会長(34)は「ユークイの知識を深め盛り上げたい」、長浜に住む久貝久雄さん(76)は「皆が一堂に会したので最高の気分」とそれぞれ笑顔だった。
仲地御嶽では、神女役の女性たちが円陣を作り、両手で着物の裾を軽く持ち上げて「ユー」を招き入れる所作を繰り返した。
ツカサシュウ(司主)と尊敬される渡久山照夫さん(66)は、12月末で任期満了の3年を迎えるという。「その時まで心を込めて神歌を唱えたい」話した。
伊良部南区には五つの集落があり、伊良部集落は神女役のツカサのなり手がいないため、豊年祭「ユークイ」は休止している。