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社会・全般
【私見公論】島文化の伝承/猪子 立子
宮古の島々には、とても神秘的な文化が数多く残されている。バスガイドの職業を通して、全国のいろいろな古き文化を紹介してきた。その結果、宮古の文化ほど、人々の心を震わせそして涙するのも、そう多くはない。このことに、宮古の人々は気づいてほしいとも思う。
ここ最近では、私の第二の故郷とも言える奈良の都の復元にとても驚かされる。特に平城宮跡は、都の復元にとても力を入れていることだ。今から1400年前を取り戻そうと頑張っている。それに比べると宮古の文化には、約千年近くも続いている文化がある。それを思った時に、どうにかしてでもこの文化を続けねばという気にかられる。古い文化を守っているところには、必ず人々の心が戻ってくる。
去る10月13日、14日と故郷、伊良部島では、約千年続くという豊年祭が行われた。「ユンテール、ユンテール」の掛け声で、この時ばかりは年に一度だけすべての人々に必ず徳がおろされると言われている。里人を中心に最近では、観光客の姿を多く見かけるようになった。伊良部島内には、七つの集落があり、本来は、7カ所全集落で行われるはずの祭事である。ところが近年、後継者問題で3カ所は、閉ざされている。現在行われているのは、仲地、国仲、長浜、佐和田の集落のみである。こういった祭事を行うには、地元で生まれ育った人じゃないといけないという。その他にもいろいろと条件があるが、あまり表に出されず口伝で伝えなければならない。
この10年間、私の周りで都会からのお客さまたちをお連れした時に、この島には今、まさになくなりつつある心の道徳の教えをこの祭事でかいまみることができると言う。38年間、奈良、大和の国と、この琉球国の間を行き来する内、学び見いだしたことは、やはり古き教えを伝承するということだ。まさにこの祭事によって、多くの人々がリピーターになるということだ。現在の宮古島は、今、まさにバブルの絶頂期になっているが、島に伝わる文化をこの波にのまれてはいけないと思う。
私が思うに宮古諸島は、日本の心の故郷のように思える。都会で忘れかけている目上の方、先祖を崇拝することがこの宮古島に来ると思い出され、改めて心の中に眠っている「魂」が起こされるようだと言う。決して何の宗教も宗派もそこにはない。都会の風に吹かれるのではなく、先人たちが残してくれた魂の宝の文化がこの宮古諸島にはあるということだ。
多良間島の「ヤッカ、ヤッカ」や八月踊り等、決して閉ざしてはならない。たぶん遠い昔には、宮古のいろいろな地域でこのような素朴な祈りがあったに違いない。現在、一生懸命古き祭事を守っている伊良部島、多良間島、宮古島、島尻のパーントゥ等、伝承する後継者をつなぎ止めることを今一度宮古のみなみなさまで考えてみてはいかがかと日々願ってやまない。
(ホテルてぃだの郷代表取締役)