経済活況も人手不足深刻/公庫経済懇談会
省力化、IT化が急務/空き部屋ゼロ、時給1000円迫る
沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)は1日、地域の経済動向を探ろうと市内ホテルで「沖縄公庫・宮古経済ワイドー懇談会」を開いた。出席者らは観光や建設業など圏域経済が活況を呈している反面、人手不足が深刻化しており、省力化、IT化への取り組みが急務と指摘した。
出席者は県宮古事務所の稲福具実所長、市伊良部商工会の奥濱剛副会長、住宅情報センターの佐和田功社長、まるちくの下地隆之社長、とみやま商店の豊見山貴仁社長、先嶋産業の友利博明社長、宮古島市の長濱政治副市長、新家の平戸新也社長、宮古島商工会議所の下地義治会頭。公庫からは川上理事長のほか喜納兼次郎理事、玉那覇通男業務統括部長らが出席した。
川上理事長は「当地の経済状況を公庫が把握するために、意見、要望、提言を聞く貴重な機会。県経済は好調な観光がけん引し、建設や個人消費が下支えし、基調としては拡大を続けている。一方で深刻な人手不足で人件費の高騰が課題となっている。宮古は新航空路線、クルーズ船の寄港増で観光客も前年比で16%増で過去最多となっている。建設も旺盛な民間需要などで活況を呈し、地域の経済は堅調に推移をしている。人手不足は深刻だが、経済が拡大している今こそ機械化、省力化、効率化に取り組む好機と捉えてほしい」と述べた。
不動産業の佐和田社長は7000部屋を管理しているが「空き室はゼロの状態」と説明、今後もホテル従業員用など住宅需要が続くと見ている。家賃については「家主から値上げの相談が多い。ワンルーム10万円、12万円という物件もある」と紹介し、「困った状況」と説明した。
運送業の下地社長は「タクシー乗務員不足が課題。観光客だけでなく、高齢化社会が進めば(タクシーの)需要は増える。潜在的労働力として女性に期待している。家庭にいる女性を労働力として確保するため、企業内で託児所などを設置することを考えている」と述べた。
飲食業の平戸社長も人手不足が深刻だと指摘。「2、3年前に時給750円だったが、現在は1000円に迫っている。それでも人は集まらない。人材派遣会社に頼っているが、外国人も視野に入っている。セルフオーダー、セルフ会計の導入を考える時期に来ているのでは」と述べた。