観光、廃棄物の課題指摘/離島過疎地域振興部会
【那覇支社】県振興審議会の離島過疎地域振興部会(部会長・嘉数啓琉球大学名誉教授)は12日、那覇市の離島児童生徒支援センターで第5回会合を開催し、これまでの議論をとりまとめた。次期振興計画の策定に向け、離島過疎地域での新たな課題として「オーバーツーリズム」を、重要性を増した課題としては「海洋漂着ごみを含めた離島の廃棄物処理」を指摘した。
県では、現行の沖縄振興計画である「沖縄21世紀ビジョン基本計画」が残り約2年半となっていることを踏まえ、現在の振興計画の成果について検証を行っている。離島過疎地域振興部会を含め県振興審議会の9部会で議論が進んでおり、その結果は次期計画に生かされることになる。
同部会は、これまで4回にわたり▽離島の定住条件の整備▽離島の特色を生かした産業振興と新たな展開▽人材育成・交流推進-などをテーマに審議を進めてきた。
議論の中で、新たに生じた課題として浮上したオーバーツーリズムについては、12日も委員から意見が出された。上妻毅副部会長(ニュー・パブリック・ワークス代表理事)は、「これまでは『観光振興』とのみ言ってきた」とした上で、今後については「観光管理」という新しい概念でも対処していく必要性を強調した。
また、海洋漂着ごみについて、金城清典委員(琉球エアーコミューター社長)は「海岸の漂着ごみは異常だ。市町村や県レベルではなく、国との連携を取っていかないと、沖縄の自然は守っていけない」と語った。
外間守吉委員(県離島振興協議会会長、与那国町長)は「離島での産業廃棄物や漂着ごみを回収するため、できれば『焼却船』を作ってもらいたい。各離島の港で漂着ごみなどを受け取って、(船を)走らせながら焼却しなければ解決しないのではないか」と述べた。