家畜伝染病 防疫意識高める/畜産関係者
口蹄疫想定し演習/外部侵入の危険性に備え
口蹄疫など家畜伝染病の防疫実働演習が14日、JAおきなわ宮古家畜市場で行われた。県や市村といった行政機関と畜産に関係する団体の職員が参加。人、モノの移動の活発化で高まる侵入リスクに備え、口蹄疫の発生を想定した演習で防疫意識を高めた。
実働演習は県宮古農林水産振興センターが主催。周辺国で広がる口蹄疫などの家畜伝染病の侵入を防ぐとともに、万が一の侵入に備えておくことが狙いだ。
宮古圏域には近年、口蹄疫発生国に挙げられる中国などからのクルーズ船が急増し、伝染病の侵入リスクは高まり続けている。
旺盛な観光需要を背景にした人やモノの移動の多さも懸念材料の一つで、アフリカ豚コレラなど口蹄疫に限らず家畜伝染病侵入への備えが求められている。
特に口蹄疫は、特定家畜伝染病の中でも国際的に最も警戒すべき病気とされており、牛などが感染すると発熱したり、口の中やひづめの付け根などに水ぶくれができたりする症状が出る。偶蹄類動物に対するウイルスの伝染力が非常に強く、他の動物へうつさない措置を取らなければならない。
2010年には宮崎県内で発生。処分した家畜は29万頭、被害額は約2350億円にも及んでいる。
こういった伝染病に対応する演習には、行政のほか管内の和牛改良組合や農業共済組合、家畜診療所、獣医師会、削蹄師協会の担当職員が顔をそろえた。自衛隊や動物検疫所沖縄支所からの参加もあった。
初めに口蹄疫に関する講義を受け、周辺の発生国および防疫作業に対する理解を深め、改めて侵入防止の重要性を共有した。
講義後は防疫の実働演習に移った。関係車両の消毒に始まり、防護服の着脱訓練、想定発生農場における消毒作業をこなした。
それぞれ本番さながらの機敏な動きで初動作業に当たり、万が一の侵入に備えた。多くの関係者が作業の様子を見守り、共々防疫に対する意識を高めた。
演習に当たり、県宮古農林水産振興センターの長崎祐二所長は「口蹄疫、豚コレラも含めて、伝染病は身近でまん延している」と危機感を示し、「日本に、宮古島に入ったら壊滅的な被害を受ける。家畜だけではなく交通規制も敷かれるため観光にも影響が出る。これに対応するため、しっかり連携していきたい」と防疫の重要性を強調した。