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社会・全般
【行雲流水】(紙風船)
『紙風船』。「落ちてきたら/今度は/もっと高く/もっともっと高く/何度でも打ち上げよう。 美しい/願いごとのように」。黒田三郎の詩で、教科書に掲載され、フォークグループ「赤い鳥」がヒットさせた曲の元歌でもある
▼ある校長は「校長室便り」に書いている。「紙風船も願い事もこわれ易く高みにずっといることはできない。紙風船は自然に落ちてくるし、願い事はそれほど簡単には叶わない。だから、落ちて来てもあきらめず、何度でも打ちあげるもの。志を持ち、それを持続させることが大切である」
▼どこでも、いつの時代でも、正しいこと、望ましいことがすんなりと受け入れられるとは限らない。むしろ困難を伴うことが多い。「自由」や「平等」の理想も、粘り強く求めて勝ち取られるものである
▼不条理な状況に置かれた沖縄であるが、願っても、願っても、状況は厳しいままである。紙風船は自然に落ちてくるが、沖縄の現実には重力の他に人為的な重しがのしかかっている。それでも沖縄は理想を見失うことはない。「美しい願い事」は、核も基地もない沖縄。沖縄の伝統である「万国津梁」、すなわち「世界のかけ橋」になることである。世界に開かれた、平和で、豊かな文化を謳歌(おうか)する沖縄である
▼黒田三郎は書いている。私の小さな幸福、平和、希望を取りあげようとするものがある。「正義のために」、「祖国のために」、「平和のために」(という名目で)。そうして私は二人の兄を(戦争で)失った
▼紙風船よ、高く舞え、美しい願い事をのせて。(空)