「地域内で経済循環を」/沖縄公庫フォーラム
藻谷氏、地消地産を提唱/持続可能な宮古振興で講演
「沖縄公庫フォーラム2019in宮古」が26日、市内ホテルであり、地域振興に詳しい日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏が「持続可能な宮古の振興に向けて」と題して講演した。藻谷氏は少子化によって人口が減少していく中で地域を活性化させるためには「地域内経済が循環拡大すること。地元で消費するものは極力地元産にする『地消地産』が重要。その売り上げの中で地元に残って回る部分を増やすことで地元の雇用を確保することにつながり人口減少を食い止める」と話した。
フォーラムは沖縄公庫が主催し、地元の経済関係者らが参加した。藻谷氏は地域活性化について▽交通が便利になる▽観光客の数が増える▽知名度が上がる-ことより、「人口が減らなくなり、出て行った若者が戻ってきて子供が生まれ続け、地域で物事が決められること」と強調し、地域全体で戦略的に人口が減少しないための取り組みを進めるべきだとした。
地域活性化の5段階として①知名度アップ、話題性アップ②客数増加③売り上げ増加④所得増加⑤地域内経済循環拡大-を示し、⑤の段階まで来ると人口が減らなくなるとの考えを示す。地域内経済を循環拡大させることは「お金の使い方次第」で可能になると指摘し、使うお金を「地域外に出て行ってしまうお金」「地域内の誰かの貯金に回るお金」「受け取った人が地域内でまた使うお金」に分類し、「地域内でまた使うお金」の割合を増やすべきだと提言した。
試算によると市民の年間消費額を150万円とすると、うち1%の1万5000円を市内産品消費に充てると8億円が地元に残り、400人の雇用が可能になるという。観光消費額でも10%を市内産品消費に回すと5億円が地域で循環し、250人の雇用が確保できるとした。
藻谷氏は市内で販売されている観光土産品を例に挙げながら、「地元産の原料を使い、地元で製造すれば地域外に出て行く費用がなく、地域内でお金が循環する。宮古は農業もあり、それが可能だ。地域と地元企業が続いていくための道は地消地産だ」と強調し、「観光客も地元のものを求めている。ここにしかないものが本当の強みになる。それを分かっている客がリピーターになる」と話した。