虐待への支援学ぶ/母子保健推進員研修会
早期発見の必要性訴え
2019年度宮古地区母子保健推進員研修会が27日、平良保健センターで行われた。会では、県中央児童相談所宮古分室の與古田貴之主幹が児童虐待の現状を紹介しながら、子供たちを虐待から守るため早期発見の必要性と、それに向けた訪問時の確認点や気付きの大切さを訴えた。
與古田主幹は「宮古地区における児童虐待の現状と支援について」をテーマに講話した。
2018年度における宮古管内の虐待件数(速報値)は211件。種別の内訳は、心理的が最も多く157件。次いでネグレクト(育児放棄)が35件、身体的が19件と続き、性的虐待は無かった。
虐待を受けている児童生徒の年齢別では、小学生が72件と最も多く、次いで3歳~学齢前児童の48件、0~3歳未満の45件などとなっている。
虐待者別では、実父が最も多く120件。次いで実母の70件、実父以外の父が17件などとなっている。
與古田主幹は、虐待の背景や要因について、保護者の問題(被虐待経験、アルコール依存など)▽家庭の状況(経済不安定、夫婦不和など)▽社会からの孤立(転居を繰り返す家庭など)▽子供自身の特徴(障がい児、発達障がいなど育てにくさなど)-を示した。
その上で「家庭訪問が虐待リスクのある世帯を把握する重要な機会」と訴え「ちっとしたサインを見逃さず、その兆しを早期に発見し対応する必要がある」と話した。
講話の中では、県内で実際に虐待を受けた子供たちの写真も紹介され、打撲ややせ細っている姿に会場から「かわいそうに」などの声が聞かれた。
そのほかにも、訪問時の確認点のほか、それぞれの虐待における気付きのポイントも紹介した。
與古田主幹は、児童家庭相談は複雑かつ多様であることから、相談体制については関係機関と連携を図って支援ネットワークを構築した取り組みの重要性を強調した。