ケブカ被害、拡大傾向
キビ収穫後のロータリー徹底を
サトウキビ土壌害虫ケブカアカチャコガネの被害が宮古全域で拡大傾向にある。関係機関では例年以上に多いサトウキビの立ち枯れを警戒しており、収穫後のロータリーによる砕土を生産農家に呼び掛けている。昨年暮れには一部牧草地での被害も確認。被害の程度や侵入の経路は調査中だが、畜産農家に与える影響が懸念される。
ケブカアカチャコガネは、地中にいる幼虫がサトウキビの根を好んで食害する。地表のサトウキビは成長を阻害されて立ち枯れ、生産物としての価値を失う。被害は月から翌年3月にかけて発生している。
宮古地区病害虫対策協議会は昨年11~12月に宮古本島と伊良部島で被害調査を実施。宮古本島で20、伊良部島で16のほ場を部分的に掘り返して調べた。この結果、全体の捕獲頭数の95%以上がケブカアカチャコガネの幼虫で残りはアオドウガネの幼虫だった。
牧草地での被害は昨年12月に確認。県病害虫防除技術センター宮古駐在が現地調査して枯れた牧草の付近を掘り起こしたところ、ケブカアカチャコガネの幼虫が大量に付着していたという。
同協議会では幼虫が浅い地中にいる間の3月初旬までにほ場を砕土して駆除するよう呼び掛けている。これで幼虫の約75%を駆除できるという。3月中旬以降は幼虫が地中深くに潜るため、ロータリーのやいばが届かず駆除効果は低下する。
砕土以外の駆除方法として、性フェロモンを使用した実証試験が行われている。雌の性フェロモンで雄をおびき寄せて成虫の交信をかく乱、交尾を阻害して幼虫の発生を抑えるという駆除方法だ。実証試験ではすでに成果を挙げており、農薬としての実用化が検討されている。