宮古芸能の将来考える/八重山事例に意見交換
県文化振興会は2日、平良港ターミナルビルで、文化活動支援助成事業などの補助金説明会と「地域と芸能のこれからを考える」と題した芸能座談会を開いた。文化事業を行う団体の代表らが集まり、説明に聞き入った。説明会に引き続き行われた座談会では宮古の芸能を継承するために活発な意見が交わされた。参加者から「幼いころから芸能に触れさせることが将来の担い手を育てることにつながる」との意見が出された。
座談会では石垣市出身で琉球古典音楽安冨祖流絃声会師範、三線奏者の花城英樹さん、県立芸大非常勤講師の遠藤美奈さんが石垣市で取り組んでいる「琉球芸能鑑賞会」について、その意図や反応について報告。参加者は宮古の伝統芸能の奏者や実演家が自らの現状を紹介しながら、意見交換した。
琉球芸能鑑賞会は文化振興会の「沖縄文化芸術を支える環境形成推進事業」の助成を受けて、石垣島だけでなく竹富島、小浜島の小中高生が一堂に会して、三線、舞踊の稽古を重ね、沖縄本島の琉球芸能の実演家と共演する舞台でこれまで3回開催されている。
花城さんは「同じ歌、踊りでも八重山芸能と琉球芸能では歌い方、踊り方が違う。普段は八重山芸能を練習している子供たちは琉球芸能を知ることで、改めて八重山芸能の良さを感じ取ることができる」と話し、遠藤さんは「子供たちの吸収力はすごい。耳もいいし、大人が無理だと思っていることでも一生懸命に練習して簡単にこなす。大人が(子供たちに)リミットをかけない方がいい」と提言した。
参加者からは流派、教室の違う子供たちが一緒に練習することについて「各研究所の指導者はどう考えるのか。課題があるのでは」「流派の違う研究所が同じ舞台に立つことはない」と否定的な声がある一方、宮古高校郷土芸能部を引き合いに「生徒たちは流派が違う研究所に通っている。通っていない生徒もいる。創部4年で県高文祭で優秀賞を取るまでになっている」と可能性を期待する意見もあった。舞踊家からの「宮古では地謡の奏者が追い付いていない」との指摘に対し、三線奏者から「それは琉球古典芸能の場合。もっと宮古民謡に振りを付けて踊ってもらいたい」と返すなど熱がこもった。