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社会・全般
【行雲流水】(キビの花で座ぶとん)
多幸山フェーレーなどの文化財がある恩納村真栄田集落の字誌(2017年発行)に、「キビの花で座ぶとん。60本の穂で一つ、作り方はとても簡単」というユニークな見出しの新聞記事が収録されている
▼その記事は、県内紙が1961年1月23日付の夕刊で、とり上げた話題ものである。当時、同集落生活改善グループの長濱民枝さんが、全琉普及事業大会で成果を発表している。温もりのある事例なので、少しばかり耳を貸していただきたい
▼「農家では、現金収入が少ないので座ぶとんを購入するのも並大抵ではありません。冬になっても、畳かゴザの上に直に座る家庭が多いものです。そういう状態の中で、私はある日、キビ畑で靴擦れがして歩けなくなり、何の気なしにキビの花を靴の中にあてがいました。すると、クッションがきいて大変いい気持ちです。そこで思いついたのが、座ぶとんでした。作りは収穫期にキビを倒すとき、花を摘み一日太陽に干し、三隅を縫った座ぶとんに適当にいれ、口をくくると出来上がりです。出来は普通の座ぶとんよりは重たい感じですが、クッションは非常にいいものです。また、水分を吸収するとペチャンコになりますが、一日干すと、綿のように膨らみ、また、もとのようになります」と、話している
▼私は、宮古島の農家に育ちキビ収穫作業もそれ相応に手伝いましたが、この独特な着想は浮かびませんでした。多分、長濱さんのことですから、キビの花で「枕」も思い浮かんだことでしょう
▼字誌を読み、このノスタルジックな話題を私だけの箱入りにするにはもったいないと思い、したためました。(久)