共同牛舎建設に着手/市、城辺で50頭規模
増頭、新規就農に期待
宮古島市は6日、市城辺福里(福北)で賃貸型共同利用牛舎の建設に着手した。沖縄離島型畜産活性化事業で事業費は約1億円、50頭飼育可能な1000平方メートルの牛舎1棟を建設する。来年3月の完成を目指している。完成後、入居希望農家に賃貸する。
牛舎は建物内を各10頭飼育可能な広さに5分割する。市畜産課によると、5人の入居希望者はすでに決まっているという。賃貸料の設定、光熱費の徴収方法は今後、決定していく。
事業は2016年に開かれた県農林水産部と宮古島市、多良間村との行政懇談会で、市の要望に応える形で県が構想を披歴。増頭による規模拡大を目指す小規模農家をはじめ、新規就農者が利用する共同牛舎を柱にした宮古地区の畜産振興策のイメージを提示した。翌年から事業化に向けて進めてきた。
市には現在、約730人の畜産農家が約8000頭の母牛を飼育している。農家の年齢構成は80歳代、90歳代で20%を占め、30歳代、40歳代は5%に満たない。高齢化が進み、今年度中には畜産農家が700人を割り込むとの見方もあり、関係者は「このままでは子牛産地として成り立たなくなる」と危機感を募らせている。
競りへの上場頭数が減少傾向にある中、宮古和牛改良組合の荷川取広明組合長は「増頭したくても牛舎の関係でなかなかできない農家も多い。増頭を目的とした共同牛舎には期待している。1カ所だけでなく各地区に建設されれば、増頭が可能になっていく。行政の取り組みに期待したい」と話した。