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社会・全般
【私見公論】「無災害で楽しい年末年始を」/小池雅弘
宮古島に赴任して、気が付けばやがて半年になろうとしている。相変わらず宮古島は建設ラッシュである。
師走に入り、平成から令和へ時代が移り変わった今年も残り1カ月を切った。師走といえば何かとせわしない時期である。
沖縄県内では、労働災害が増加している。休業4日以上の労働災害は、平成28年1091人、29年1190人、30年1175人と年間1000人を超える高止まり状況である。今年はというと10月末現在で924人と前年同時期の856人より68人(7・9%)の増加となっており、このままだと昭和54年(1201人)以来の1200人超えとなるおそれがある。
また、県内の死亡労働災害はというと、平成30年は4人であり、大幅に増加した前年(平成29年14人)より10人減となった。ところが、今年は10月末現在で9人とまたもや大幅な増加に転じた。
一方、宮古管内はどうかというと、平成30年の休業4日以上の労働災害は過去最多に並ぶ52人となったが、今年も11月末現在(12月2日現在の速報値)42人で、前年同時期の39件を上回るという状況で、過去最多を更新する勢いである。労働災害が増える師走に入って非常に憂慮される状況である。
宮古管内では死亡労働災害はというと、平成23年11月に発生して以降、今年も含めて「統計上」発生していない。あえて「統計上」と申し上げたのは、統計で労働災害とカウントするのは、労働安全衛生法第2条において「労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、または作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、または死亡することをいう」と労働災害について定義されており、そのうち、労働災害により労働者が休業4日以上(死亡含む)に至るものについてである。ちょっと難しい話になったが、これに該当しない場合は労働災害とはならないのである。例えば今年の7月に宮古島市内で、男性が枝の剪定作業中脚立から転落して死亡した災害が発生したが、労働災害とカウントされていない。
県内の労働災害の大幅な増加を受けて、沖縄労働局では、去る11月28日、労災事故が多くなる年末から年度末に向けて、特に労働災害が増加傾向にある建設業、港湾荷役業の労働災害防止に関わっている建設業労働災害防止協会(建災防)沖縄県支部および港湾貨物運送事業労働災害防止協会(港湾労災防止協会)沖縄総支部に対して緊急要請を行った。
ところが、緊急要請を行ったその当日に国頭村の海水揚水発電所解体工事現場において、2人の尊い命が失われるという非常に痛ましい事故が発生した。
宮古労働基準監督署では、建災防宮古分会と合同で、12月4日に建設現場の安全パトロールを実施し、また、12月12日に港湾労災防止協会宮古支部と合同で安全パトロールを実施して、各現場や作業における安全管理の徹底をお願いするとともに、各作業員にも安全意識を持っていただくよう訴えたところである。
その他にも、年末・年度末に向けて、建設現場等のパトロールを行うとともに、さまざまな業種の事業場に対して労働災害防止、労働者の健康の確保、時間外労働の上限規制等働き方改革への取り組みなどについてあわせて周知・指導を行っていくこととしている。
日頃から現場、事業場の安全点検をしていただき、災害につながる危険の芽を取り除いていただくとともに、労働者の皆さんは、自分のことや職場の仲間のことを考えて無理をしない(させない)ことを徹底して、安全を第一に作業していただきたい。
無災害で楽しい年末年始を迎えましょう。(宮古労働基準監督署長)