水際対策強化へ連携確認
新型肺炎で港保安委/クルーズ関係者は臨時会合
新型コロナウイルスの世界的な広がりを受け、平良港保安委員会(委員長・下地敏彦市長)は31日、平良港ターミナルビルで会合を開き、水際対策の現状と連携の強化を確認した。関係機関の実務担当者が意見を交わすクルーズミーティングも臨時招集され、新型肺炎に関連するクルーズ船のキャンセルが4隻に及んでいることが分かった。今後の動向を含めて、経済活動への影響が懸念される。
宮古島市には年間100回を超えるクルーズ船の寄港がある。その多くが新型コロナウイルスによる肺炎患者が急増している中国を行き来する。平良港保安委員会はこういった現状を踏まえて会合を開いた。
委員会の冒頭、下地委員長は、計147回のクルーズ船寄港があった2019年の実績を挙げ、「中国からのクルーズ船が約半数を占める状況になっており、2020年も中国から多くのクルーズ船が寄港する予定になっている」とした。その上で「入港時における検疫体制などの情報を共有して意見交換を行い、港湾関係機関の連携を図り、防疫対策を強化していくことが必要だ」と強調した。
委員会では、那覇検疫所平良出張所が検疫体制などを説明した。政府が新型コロナウイルスを指定感染症に加えることで検疫内容が変わることを報告。これまでは発熱の確認や自己申告の呼び掛けにとどまっていた検疫だが、今後は質問したり、診察・検査を実施したりすることが可能になるという見通しを示した。
保安委員会は市や国の機関をはじめ、警察、海上保安部、港湾事業者などの代表らで構成している。意見交換では、仮に疑似症が出た場合の連絡方法などを念入りに確認。万が一への備えに万全を期していた。
港湾事業者からは、クルーズ船に関連する仕事が多いことを踏まえて予防法を求める声があった。これに検疫所は「手洗いやマスクをするのが良いが、宮古はマスクが品薄の状態にあるので、とにかくうがいや手洗いを徹底してほしい」などと話し、新型肺炎に関する厚生労働省のホームページの活用も呼び掛けた。
保安委員会終了後、同じ会場でクルーズミーティングが開かれた。市観光商工部がクルーズ船の寄港情報として新型肺炎絡みで計4隻のキャンセルが出ていると報告。仮に2月と3月のクルーズ船すべてがキャンセルになった場合、県の実態調査報告に基づく影響額は11億7000万円に上るという試算も示された。
参加者はこういった情報を共有しながら意見を交わし、新型肺炎に関する正しい知識の吸収に努めた。