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社会・全般
2020年1月31日(金)8:54

【美ぎスマ】新ツカサに川満さんを選任/伊良部地区仲地集落

福島さんの卒業祝う/新春に仲地集落の発展願う


手と頭をゆっくりと上げ下げして祈った皆さん。写真中央右から2人目が新ツカサンマの川満さん

手と頭をゆっくりと上げ下げして祈った皆さん。写真中央右から2人目が新ツカサンマの川満さん

 伊良部地区の仲地で今月中旬、3年間ツカサンマとして神様に仕えた福島智代美さん(63)の卒業報告と、福島さんの後を継ぐ新しいツカサンマを選ぶ儀式が行われた。ツカサンマに選ばれたのは川満恵子さん(65)。会場の旧仲地公民館(仲地ブンミャー跡地)にはツカサンマとOB、ツカサシュウ(宮国勝男さん=昨年12月選任)、世話をする女性ら十数人が集いツカサンマの卒業と後輩ツカサの誕生を祝い、仲地集落の発展も願った。

 ツカサンマは、御嶽の神願いなどを中心になって行う司祭者。ツカサンマを中心とした同地での祭祀の起源は定かではないが、親村である伊良部集落が村建てした1395年ごろに始まったと仮定すれば、その歴史は600年以上と古い。仲地集落は1766年に伊良部村から分村した。

 ツカサンマの新旧交代儀式では、村の守護神を祭る神棚の香炉に太く束ねた線香を立ててたいた。神前には煮干しや無洗米、洗米、塩、酒、水、たばこ、菓子などを供えた。

 白い服姿の福島さんが3年間の務めを終えたことを手を合わせ頭を下げて神様に報告。全員そろって頭と手をゆっくりと上げ下げする祈りの姿は、時を超えた文化のつながり(昔からの伝統)を彷彿(ほうふつ)させる神秘的な光景だった。福島さんが卒業祝いの酒をみんなに振る舞った。

 今回の新ツカサンマの対象者(60~65歳の女性)は10人。名前を書いた紙を折ってお膳に載せ、仲地正彦自治会長(64)がお膳を振った。今回は、川満さんの名がお膳から4回「降りて」、新ツカサンマに決まった。

 仲地会長は「ツカサンマを中心とした祭祀や集落行事は、先祖から受け継いできた大事な地域文化。祭祀や行事は住民の融和や団結、活力の源になってきた。伝統は守り続ける必要がある」と話した。

 ツカサンマ選出の結果は、川満さんに伝えられた。川満さんが会場に入ると、みんなが「おめでとう」と声を掛け、拍手をして迎えた。任期は3年。ツカサンマはナカドゥイ御嶽などでの祭祀を中心になって執り行い、五穀豊穣(ほうじょう)や無病息災、子孫繁栄などを願う。

 夜は福島さんと川満さん宅で祝宴が開かれ、大勢の住民が訪れた。福島さんは「方言の神歌は内容が素晴らしい。楽しく覚え務めを無事終えることができた」と感想。後輩の川満さんには「楽しみながら頑張って」とエールを送った。川満さんは「福島さんに習いながら頑張りたい」と抱負を語った。


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