「オトーリ」文化にも影/新型肺炎
観光業界は自粛ムード
新型コロナウイルスの感染拡大が、宮古島特有の回し飲みの文化「オトーリ」にも影を落とし始めている。一つのコップで回し飲むため、感染のリスクが広がるのではないかとみて観光業界などは自粛ムードだ。
オトーリは「親役」が口上を述べた後、泡盛を入れたコップを同席のメンバー一人一人に回していく飲酒文化。この際に使われるコップは、原則的に同じものとなる。
友人や知人が集まる飲食店ではおなじみの光景で、コミュニケーションを深められる半面、過度な飲酒が進むという好ましくない側面も。一部では飲酒の強要が見られるとして賛否はある。
そんなオトーリで新型コロナウイルスに感染するという科学的根拠はないが、観光業界では自粛する動きが広がっているようだ。
宮古島観光協会事務局は「今の時期に観光業界としては勧められない。感染予防を周知徹底するというのが共通認識にある」としている。
それでもオトーリをする人はやはりいる。本土から観光で訪れた服部周平さん(20)は4日、市内の飲食店で島の住民に教わりながらオトーリを体験した。「初めて経験したけど楽しい」と、会話が滑らかに進むオトーリを支持。
ただ、感染リスクに話が及ぶと酒座の全員が考えを巡らせ、「確かにないとは言えないかもなあ」と、納得の表情がほとんどだった。