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社会・全般
2020年3月8日(日)8:54

【花は島いろ】黒島一浩さん(26歳)

JAおきなわ糸満支店 融資課
「原点は市場のおばあ」


黒島一浩さん

黒島一浩さん

 【那覇支社】元来は人見知りだが、笑顔でお客さまに応対する実直さが魅力の黒島一浩さん(26)は平良久貝出身。現在は、JAおきなわ糸満支店で活躍している。

 共働きだった両親は、農業を営む祖父母に子育てを手伝ってもらっていたという黒島さん。母親が経営する美容室が公設市場近くにあったことから、祖母に市場にほぼ毎日連れて行かれ、いろいろな店舗のおばあたちに「パーマ屋の子ね」と、とてもかわいがってもらったという。  

 久松小学校時代、キャンプで宮古に来ていたオリックスの野球教室に参加。テレビで見るより身体の大きな清原和博選手を見て少年野球に夢中になり、久松中学校でも続けた。

 「高校では、もっと広い視野を持ちたい」と考え、沖縄本島の向陽高校に進学。祖父は反対したものの、母親には「一人っ子だから外に出てみたい」と入学を決めた後に事後報告し、「自分で決めたなら」と背中を押してもらった。高校では、野球は諦めて陸上部に入部し、2年の時に砲丸投げで県4位に入賞した実績を持つ。

 その後は、「宮古で行政の仕事に関わりたい」との目標を掲げて沖縄国際大学で勉強し、将来を見据えて宮古にも支店があるJAに就職した。

 JAでの仕事については、「祖父母や親族が農業に携わっており、小さい頃に年長者に囲まれていたので、年配でベテランのお客さま相手は好きなのかも」と笑顔を見せた。

 入所半年で北大東島支店に転勤になったといい、「離島出身、独身で体育会系の僕が頑張れそうだと白羽の矢が立ったんです。最初は大変でしたが、みんな優しいし、支店長や農家さんも『ご飯あるね? 持ってきたよ』と心配してくれました。住めば都です」と強調した。

 また、「できないことはできないと素直に言っていました。知っているふりが一番駄目ですね」と語る。日ごろの真面目さがあるからこそ、周りが手を貸してくれた。

 JAで4年。ファイナンシャルプランナー2級の免許も取得し、幅広い仕事内容にやりがいを実感する日々だという。「将来は宮古に関われるようにしたい。小学1年の時に父を亡くし、それでも『やりたいことをやりなさい』と大学まで行かせてくれた母に恩返しもしたい」と話す。

 15歳で島を離れたため「オトーリ」の仕方も分からなかったが、節目節目に宮古に帰ると、みんなが大人の付き合い方を教えてくれる。「僕の原点は市場。おばあたちにかわいがられた事が、今とても役に立っている。幸せですね」と、柔らかな笑顔で懐かしがった。


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