タクシー業界打撃/新型コロナ影響
売り上げが大幅減/終息見えず、募る不安
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、好調だった宮古観光を直撃している。大型クルーズ船の寄港キャンセルや下地島空港の国際便の運休に加え、3月に入り日本トランスオーシャン航空(JTA)、全日空(ANA)とも那覇―宮古便が減便され、取り巻く環境は厳しさを増す一方だ。その余波をじかに受けているタクシー業界では、2月の運送収入が大幅に減少。まだまだ終息の兆しが見えない中で、業界では先行きへの不安が日増しに大きくなっている。
宮古タクシー事業協同組合の下地隆之代表理事によると、同組合加盟の14社における今年2月の運送収入は8932万円で、前年同月(9837万円)から9・2%減となった。
業界の現状について、下地代表理事は「これまで右肩上がりで運送収入は伸びてきたが、今年に入ってからは新型コロナの影響がどんどん大きくなっている。3月は沖縄本島のタクシー業界で30~40%減を見込んでいるので、宮古も同じような落ち込みになるだろう」と話した。
ここ数年の宮古観光は、海、空からの入域客が一気に増加。それに伴いタクシー業界も車の台数や人員を増強。そのほかにも新車導入やシステムを充実させるなど設備投資を行ってきた。
そうした中での収入の落ち込みは、業界に大打撃を与え、拡大の一途をたどる新型コロナウイルスの今後への影響にも危機感を募らせている。
下地代表理事は「各社とも設備投資をしてきた中での落ち込みなので厳しい。これまでの設備投資に対する支払いをどうするのかという話しも聞かれており、減車した社もある」と、厳しい現状を説明した。
大型スーパー前のタクシー乗り場で、客待ちをしていた運転手は「感覚的には去年の今ごろに比べて40~50%くらいは落ち込んでいると思う。きょう(27日)も朝8時からこれ(午後4時過ぎ)まで乗車は8件。去年の今ごろは、この倍以上はあった」と話した。
今後の見通しについて、下地代表理事は「島内でも発生する可能性は十分あるし、宮古で感染者が出ると小さな島なのでイメージ的に大きな影響が出る。早めのワクチン開発を願うしかない」と頭を抱えた。
さらに「4月以降も落ち込みがどんどん大きくなっていきそうで怖い。国の助成金に頼るしかなくなっている。セーフティーネット資金もあるがゼロ金利といっても借金だから簡単に手は出せない。今後、那覇ではどんどん倒産が出てくるという話しもあり、不安は大きい」と話した。