犬の殺処分、初のゼロ/宮古保健所管内19年度
民間ボランティア活動が貢献
県宮古保健所管内における2019年度の犬の収容状況によると、管内では初めて殺処分件数が0件となったがことが同所のまとめで分かった。同所によると、19年度の終末処分件数は1件あったが、それは収容時にすでに衰弱していたことによる死亡だったことから殺処分については0件となったという。一方で、収容頭数は依然として高い数値で推移していることから、野犬の増加要因の一つでもある放し飼いをしないことや、去勢、避妊を含め飼い主に意識の高揚を呼び掛けている。
同所管内における犬の捕獲・保護数は年間100~200匹台で推移してきたが、14年度と15年度は300匹台に増加した。
それに伴い、14年度からは年間の殺処分件数も300匹を超え、15年度は325匹となり、これは東京都の1年間の処分件数を上回っていた。
こうした状況を打開しようと、民間ボランティアが立ち上がり、収容された犬を島内外に譲渡する活動が16年度ごろから本格化してきた。
同所と連携した取り組みで16年度の終末処分件数は、前年度の325匹から大幅に減少し141匹となった。
さらに、活動が充実してきた17年度の処分件数は16匹にまで減り、18年度はさらに4匹にまで減らすことができた。
18年度の終末処分4匹のうち、3匹は収容後に衰弱等で死亡。実際に沖縄本島に送って殺処分されたのは1匹のみとなり、19年度は初の0件を達成した。
こうしたボランティアと保健所の取り組みをよそに、管内の捕獲・保護数はいまだに高い数値で推移している。
同所管内の捕獲・保護頭数は、16年度が280匹、17年度が272匹とほぼ横ばいだったが、18年度は301匹と再び300匹台に増加。19年度は246匹となった。
匹数は減ったものの石垣市など同じ規模の自治体に比べても宮古島市は大幅に多い。
同所は「宮古で初めて殺処分がゼロになったのは、ボランティア活動のおかげと、一般の人たちの中にも譲渡希望をする人たちが増えていることも要因」と話した。
一方で「捕獲件数は相変わらず多いし、飼い主から『子犬が生まれて飼いきれない』との理由で持ち込まれるケースもある。責任ある飼い方が必要で、避妊去勢手術も考えてほしい」と呼び掛けた。