林業遺産を次世代に/多良間島の「抱護」
表示板完成、除幕式/伊良皆村長「先祖に感謝」
防風・防潮林などの役割を果たしている「多良間島の抱護」と、琉球王国の三司官だった蔡温が定めた林業についての法令などをまとめた「林政八書」が「林業遺産」に選定されたことを広く知ってもらうための表示板がこのほど完成し、除幕式が26日、同村字仲筋で行われた。伊良皆光夫村長をはじめ関係者らが参加し、表示板の完成を祝うとともに、「林業遺産」を次世代につないでいく決意を新たにした。
除幕式には伊良皆村長のほか、同村教育委員会の池城三千雄教育長、大城隆夫仲筋字会長、友利哲市塩川字会長らが出席し、表示板の除幕を行った。
伊良皆村長は「めでたく除幕式ができることに感謝する。私たちの抱護(ポーグ)は長年、多良間の集落を暴風・潮から守っている。昔からポーグから外に家を作ってはいけないなどポーグに基づいた生活をしていた。守ってきた先祖にも感謝」とあいさつした。
また、「先輩方が守ってきたポーグを大切にしながら後輩や次世代につないでいく義務がある。これには仲筋字、塩川字の力も必要。村民一人一人がポーグに対する認識も深めながら守っていけるよう願っている」と期待を寄せた。
林業遺産は、日本森林学会が林業発展の歴史を将来にわたって記憶・記録するため、林業の歴史を示す景観や施設など地域に結び付いたものや、体系的な技術のほか特徴的な道具類、古文書の資料群を認定するもの。林業遺産の認定は県内では初。全国では34件目。
多良間島の「抱護」は、琉球王国時代に蔡温の政策により県内各地で植樹された中で、唯一、良好な状態で残っており、仲筋のトカパナ山から塩川の白嶺山までの約1・8㌔、幅10㍍~15㍍にわたる。集落の周囲を取り囲むように形成されており、台風や潮風から集落や農地を守ることから抱護林と呼ばれている。