スツウプナカで繁栄願う/多良間
4カ所の祭場で神事/新型コロナで規模縮小
【多良間】竜宮の神へ五穀豊穣(ほうじょう)と集落の繁栄を感謝し、向こう一年間の豊作と豊漁を祈願する多良間島の伝統行事「スツウプナカ」が18日、「パイジュニ」など村内4カ所の祭場で行われた。今回は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、規模を縮小し初日の暁の願い(アカツキノニガイ)のみが執り行われ、神酒を作るブシャ座のメンバーらがシュリ魚を神にささげ、豊作や繁栄を願った。
スツウプナカは、八月踊りと並ぶ島最大のイベント。1983年に多良間村の無形民俗文化財に指定されており、ナガシガーシュニ(長瀬川宗根)、フダヤーシュニ(札屋宗根)、パイジュニ(南宗根)、アレーキシュニ(新池宗根)の4祭場で行われる。
各祭場にはそれぞれ役割の座があり、60代以上の老人座、50代の中老座を中心とした祭祀(さいし)運営をつかさどる幹人座、供え物など料理をするクバン座、祭祀用の魚類を捕るイム(海)座で構成されている。
このうち字塩川のパイジュニでは中老座のある大木公民館に午後9時半ごろにブシャ座が集合。供え物を確認し、ブシャ座と老人座のメンバーが数カ所の祭場で祈りをささげた。例年なら神歌(ニィリ)を歌い、角盃に注がれた神酒が座に回され「ヤッカ、ヤッカ」のはやし歌とともに飲み干す光景が見られるが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で行われなかった。
ブシャ座で年関わってきた比嘉清作さんは「(規模を縮小しての実施は)初めてのことで経験が無いため先輩たちと相談して進めてきた。規模縮小となったが暁の願いだけでもできてよかった。神に豊作を感謝し、さらなる豊作と集落の繁栄を願う大事な行事。後輩にも伝えていきたい」と話した。