遺族らが祈り捧げる/慰霊の日
糸満市摩文仁「平和の礎」
【那覇支社】「慰霊の日」の23日、糸満市摩文仁の平和祈念公園内にある「平和の礎」には、早朝から時折雨が降る中、多くの遺族や親族らが訪れ、平和への祈りをささげた。
那覇市に住む平良久貝出身の西原トシさん(82)の親娘は、礎に刻まれた従兄の與那覇良光さんの名前をなぞって花を供え、冥福を祈っていた。
與那覇さんは、旧制県立宮古中学校(現在の県立宮古高等学校)を卒業後に那覇市首里にある沖縄師範学校に進学。沖縄戦で動員され、犠牲となった。
西原さんは、「亡くなったのは、激戦地だった、ここ糸満市内と知らされている。その場所を確認できないのが、とても残念でならない。教師を目指した本人の無念さを思うと、胸が熱くなる」と寂しそうな顔を見せた。
さらに、與那覇さんの人柄については「私が7歳の時に師範学校に行っているので、思い出はそれほど記憶に残っていないが、スポーツマンで優秀な人だったと聞いている」と話していた。
毎年欠かさず、「平和の礎」へ参拝に訪れているという西原さんは、「沖縄を担う前途有望な若者たちを戦争で失うようなことは、二度とあってはならない。孫たちにも、平和の尊さを話していきたい」と誓った。
沖縄戦の犠牲者の名前を刻む「平和の礎」には、今年、新たに宮古島市の6人を含む県内20人、県外9人、国外1人の計30人の名前が追加された。追加刻銘により「平和の礎」に刻まれた名前は、24万1593人となった。