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社会・全般
「複眼思考」(行雲流水)
今年は〝うさぎ年〟、干支でいう卯年だ。十二支で5巡目の卯年生まれの人は還暦を迎える。還暦祝いがとりわけ盛んなのは、祖先から受け継いだDNAに十二進法が深く刻まれている証拠なのだろうか
▼十進法が大勢を制した現代でも、1日は24時間、1時間は60分、全方位は360度で、12の倍数だ。中国では1年を二十四節気に区分して自然観察や農作業の目安を作ったし、西洋でも1ダースは12本だ
▼小学校では最初に十進法を教え、やっとなじんだ頃に時間や度数を教える。この運算方法の大転換に子供たちは戸惑い、なかには算数嫌いになる子も出る。ものの見方は一通りではないとの現実にぶつかる最初の試練だ
▼電気はスイッチ一つで点いたり消えたりする。電流の開閉だけですべての数字を表すことができる、と考えた人がいた。二進法に基づくコンピューターの発明だ。デジタル化は映像処理や音声処理の領域にまで広がり、テレビは今年7月から「地デジ」に切り替わる
▼真理は一つだと思われがちな科学の世界でさえ、考え方の基準は変化してきた。経済の分野でも「パラダイム(座標軸)の転換」という言葉をよく耳にする。基準が変われば見え方も違うし、評価も違う。ここから新商品の開発や仕事の改革へ挑戦する道が開ける
▼しかし、慣れ親しんだ基準や習慣を変えることは容易ではない。祭祀などの前例踏襲は当然だが、経済活動における旧弊は停滞要因になっている場合が多い。今年は、複眼思考で身の回りを見つめ直すことから始めてみたい。