有効求人倍率0.97倍/5月宮古
4年ぶりに1倍切る/新型コロナで雇用悪化
宮古公共職業安定所(ハローワーク宮古、阿部祐士所長)は30日、2020年5月の雇用の動きを発表した。新型コロナウイルスの影響による管内事業所の業績悪化等で、有効求人倍率は0・97倍と前年同月と比べて0・54ポイントも落ち込んだ。4年1カ月ぶりに1倍を切り、15年9月の水準まで低下した。事業主の都合による離職も増えるなど、管内の雇用情勢は厳しさを増している。
有効求人倍率は、仕事を探す人1人に対して何件の求人があるのかを示す。5月は求職者1人につき求人が1件に満たなかった。
月間有効求人数は前年同月と比べて22・8%減の1077人だった。これに対して月間の有効求職者数は同比19・9%増えて1110人。求人と求職のバランスが崩れ、有効求人倍率は1倍を割り込んだ。
新規求人数は同比42・9%減った。増加は、市が新型コロナ経済対策で会計年度任用職員の採用枠を広げた公務などで、他産業は軒並み減少。新型コロナで工事の中断などがあった建設業は70・5%減、製造業も73・3%減った。生活関連サービス業・娯楽業の減少幅も74・1%と大きい。
雇用情勢の厳しさを裏付けるように、失業給付を求める人は前年同月の103人から163人に増えたという。雇用保険の資格喪失件数は275人で、うち72人は事業主都合だった。新型コロナによる業績の悪化が要因だ。前年同月は資格喪失247人のうち、事業主都合は8人にとどまることからも新型コロナの影響の大きさが分かる。仕事を続けたくても職を失う人が増えている現状がくっきりと浮かび上がった。
大きく低下した5月の有効求人倍率について阿部所長は「新型コロナウイルスの影響が非常に大きい」と話し、「求人と求職の現状のバランスは一定程度続くと見ている」という分析結果を示した。一方で、6月は宿泊や飲食店などの観光関連産業で求人が出始めているといい、回復傾向を予兆。これに伴う雇用環境の改善に期待を込めた。