観光関連産業 回復兆し/入域観光客が急増
宿泊、レンタカー稼働率上昇/新型コロナ 自粛解除で
新型コロナウイルスの感染拡大で冷え込んだ島の経済が回復傾向に入った。県をまたぐ移動などさまざまな自粛要請の解除を踏まえて入域観光客が急増。これと連動する形で宿泊やレンタカー、飲食店など観光関連産業の稼働率が上昇している。日常の再開に向けて経済が動き出す一方、感染リスクの高まりを懸念する声もある。観光振興と感染防止という相反する二つの軸を重視した経済活動の実践が求められている。
回復傾向に入る起点は6月19日。政府が県境をまたぐ移動自粛要請を解除したことを受けて、人の移動範囲が急速に広がった。
首都圏と宮古島を結ぶ直行便路線が再開したことでホテルなど宿泊施設の稼働が上がった。市内商店街にあるホテルの経営者は「週末や連休の予約は7割から8割で、経営的にはありがたい」と話す。ただ、「東京では感染者が増えているので決して安心することはできない。独自のガイドラインに沿って感染防止対策を徹底していきたい」と警戒を強めている。
島内を走るレンタカーも目に見えて増えた。市内レンタカー会社の代表は「週末は7割ぐらいの稼働率に戻ったのではないか」と手応えを感じている。今年はハイシーズンの増車を控えているため単純比較はできないとしながらも、「予約は上向きで、今月23日からの連休は8割以上稼働するとみている」と話した。
ただ、「やはり感染の怖さはある。東京で毎日100人以上出ているので心配は尽きない」と不安を口にする。それでも、「観光客に来てもらわないとどうしようもない。感染防止対策を徹底しながら事業を継続したい」と前を向いた。
飲食店も客足を取り戻し始めている。市内商店街で居酒屋を切り盛りする店主は「完全に回復したとは言えないが、週末になると満席になってお断りすることも出てきた」と話す。平日であっても地元客を中心に店内はにぎわうという。
入店者の多くは「開放的というよりも、感染を警戒しながら活動しているという印象を受ける」と全体的に意識の高まりを感じるという。その一方で無警戒な人もいると指摘し、「今も怖さは消えない。感染者を出さないために消毒を徹底している」と引き締めた。