観光消費 36億円減少/クルーズ船20年上半期
2月以降は寄港ゼロ/新型コロナで需要消失
世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で、管内のクルーズ船需要が冷え込んでいる。2020年上半期(1~6月)の海路観光消費額は1億500万円にとどまり、前年比で36億8700万円減少した。クルーズ船の寄港は2月以降ゼロが続いており、再開の見通しは立たない。交通関係事業所や飲食店、小売店、免税店、観光施設などの経済的損失は膨らむ一方だ。
観光消費額は市観光商工課がまとめた。クルーズ船の乗客乗員が落とすお金を指す海路観光消費額は、県の実態調査に基づく1人当たり影響額2万1487円からはじき出されている。
20年のクルーズ船寄港は予約ベースで300回超が計画されていたが、1月末からキャンセルが続出。2月以降は寄港回数、観光消費額ともにゼロが並ぶ。
前年と比較するとその差は歴然だ。1~5月の観光消費額は4~6億円で推移し、6月は大台の10億円に到達する消費があった。1カ月平均の消費額は6億3200万円にも及んだ。
この消費額の大半が、新型コロナで吹き飛んだ。寄港計画を踏まえると、前年を上回る消費が見込まれていただけにダメージは大きい。免税店のほか、観光バスやタクシーといった交通関係事業所、土産品店等における対前年比の経済的損失は膨らみ続けている。
新型コロナは今も世界で猛威を振るっており、クルーズ船再開のめどは立たない。19年の海路観光消費額は計85億円を超えた。仮に20年下半期にクルーズ船の再開がない場合、前年比で84億円以上の損失となる。
拡充する受け入れ施設の利用にも影響が出る。平良港沖には、すでに14万㌧級の船が接岸できる専用バースが完成、検疫を行う旅客受け入れ施設(CIQ)も竣工(しゅんこう)間近だが、供用開始時期は見通せないままだ。
ここ数年、天井知らずの勢いで急伸したクルーズ船需要は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で一転、寄港再開時期を含めて先を見通せない景況感に包まれている。