葬儀の様相も変化/告別式から家族葬へ
住職はマスク姿で読経/新型コロナ影響
全国的に感染拡大が続く新型コロナウイルス。その影響は、宮古の葬儀風景にも大きな影響を与えている。葬儀では住職がマスク姿で読経し、親交のあった人たちが、最後の別れを告げる「告別式」から、身内や親戚など少人数でお別れをする「家族葬」へと移行している。「3密」防止で人と人の距離を広げる新型コロナは、故人に別れを告げ、供養する機会をも奪っているようだ。
新型コロナが与えている影響について、臨済宗妙心寺派祥雲寺の岡本恵道副住職は「人との距離と亡くなった人との距離感が広がった。さらに、生きている側の不安が大きくて、以前のように普通に悲しむことが難しくなっているようにも感じる」と話した。
岡本副住職によると、葬儀だけでなく「四十九日」などの法要にも影響が出ているという。
「最近は家族葬の中で『四十九日』を繰り上げて実施する希望者も多い。以前はやっていなかったが5月ごろから私たちも新型コロナの収束までの期間限定で受け付けるようになった」と話した。
生前に親しかった人たちを招いて営まれる「四十九日」は、故人が亡くなってから49日までの間で、49日目に故人が極楽へ旅立つとされ、遺族にとってはこの日を境に日常生活に戻る「忌明け」の日となっている。
岡本副住職は「繰り上げて実施しても本来の『四十九日』の日は訪れる。その日を遺族にはしっかり伝えて、故人に対する供養の気持ちをそれぞれのやり方で表すことを呼び掛けている」と話した。
また、告別式が減ったことで、知人や友人の「死」を知る機会が減り、しばらくたってから亡くなったことを知っても、仏壇に線香をあげに行ってよいのかを悩んで相談に来る人も増えているという。
さらに、夏の暑さの中で、マスク姿で読経することについては「本当にきついし、マスクをしたままだと3分の2程度しか伝わっていないと思う」と、厳しい状況を訴えた。
そのほかにも、法要でそれぞれの家を訪れた際にお茶や食べ物を勧められるが、感染予防の観点から断っているという岡本副住職は「気持だけをありがたく受け取りたい」と笑顔になった。