新型コロナ 先島間で情報格差/県出先機関
宮 古 原則として本庁対応
八重山 独自判断で密度高く
新型コロナウイルスに関する県宮古保健所の情報発信の在り方を疑問視する声が強まっている。原則として本庁に管理を委ねる宮古保健所に対し、八重山管内の県出先機関は独自の判断でPCR検査の結果やクラスター(感染者集団)に関する情報を発信。濃厚接触者の有無も報道機関とのやり取りを通じて地域に知らされるなど情報の密度が高い。同じ先島でも、市民が受け取る情報量に大きな違いが生じている。
県には新型コロナウイルス感染症対策本部が設置されており、先島には宮古地方本部、八重山地方本部がそれぞれある。県の出先機関を中心に構成されている。
宮古地区では保健所と宮古病院が緊密な連携で情報を集約し、これを基に地方本部で対策が講じられているようだが、市はこの会議に参加できていない。「いつ会議が開かれているのかも分からない」(市幹部)という状況で、市に与えられる情報等は限られている。報道機関への会議開催告知も協議内容の発表もない。
新型コロナに関する情報については、本庁で一元管理するという原則に従っているものとみられる。
一方、八重山管内の県出先機関は宮古とは正反対だ。本紙が県八重山事務所と県八重山保健所に確認したところ、地方本部の会議には市の担当課が加わっているといい、県と市が情報を共有している。
また、感染の拡大を受けて地方本部会議をほぼ毎日開いているというが、事前に記者クラブを通じて八重山の全報道機関に会議の開催を告知していることも分かった。
会議そのものは非公開としているが、終了後に八重山事務所長と八重山保健所長が報道陣の質問に受け答えする。クラスターなど多くの情報が必要とされる事案が発生した場合は記者会見を開き、広く市民に可能な限りの情報を提供するという力の入れようだ。
八重山事務所が公式発表する情報は、感染者や入院者、宿泊施設で療養する人の数など限定的だが、情報の発信源となって報道各社の取材に応じていることから、日々の紙面や報道番組で濃厚接触者の有無等も具体的に報じられている。
情報発信をめぐるこうした違いに、宮古管内の関係機関の間では不満がくすぶる。市の内部でも情報共有の在り方に疑問の声が上がっている。市議会や与党議員団は要請行動を展開して保健所に迅速かつ正確な情報の提供を求めている。
本紙は17日午前、宮古保健所の宮里義久所長に取材を申し込んだが、翌18日に総務課を通じて「忙しくて時間を確保できない」という返答があった。取材には後日応じるとしている。