地元の強い要望で実現/八重山毎日新聞社
新型コロナ情報発信/宮古との「格差」で見解
新型コロナウイルスで住民が知り得る情報の格差が宮古、八重山間で発生していることについて、八重山地区で本紙と同様に日刊紙を発行している八重山毎日新聞社に新型コロナを取り巻く地域感情や報道姿勢などを聞いた。同社の比嘉盛友編集次長は「八重山も以前は宮古と似た状況だった。しかし、関係機関と連携、調整して現在の方式になった」と述べ、地元の強い要望を受けたものであることを強調。「正確な情報をしっかりと読者に伝えなければ、差別や偏見につながる恐れがある」と話した。
新型コロナウイルスの情報管理と発信をめぐっては原則、本庁で一元化している宮古保健所に対し、八重山管内の県出先機関は、独自の判断でPCR検査結果やクラスター(感染者集団)に関する情報を発信している。
濃厚接触者の有無も報道機関とのやり取りを通じて、地域に知らされるなど情報の密度が高く、同じ先島でも市民が受け取る情報量に大きな差が生じている。
宮古保健所は、患者や濃厚接触者の人権尊重および個人情報保護の重要性を挙げながら、「八重山方式」は調査業務における患者らとの信頼関係に影響を与える可能性を指摘する。
比嘉編集次長は、八重山も以前は宮古と同様な状況だったと強調。「保健所がなかなか情報を発表しなかった。石垣市も不満に思っていて、それはマスコミも同じだった。『ちゃんと出せる情報は出してほしい』と求めた結果、現在のように発表できる体制が整った」と説明した。
さらに「情報がない時は、SNS(インターネット交流サイト)などで、根拠のない情報や間違った情報が流れてしまった。だからこそ正確な情報を出す必要があった」と話す。
本紙記者が「市民らから、新型コロナ関連の一連の報道で、患者の人権尊重や個人情報保護の観点から問題視するような指摘はあったか」と質問したのに対しては「まったくない」と否定。「提供される情報は県、病院、医師会、自治体側で調整した上で、地元マスコミに発表される。その情報を紙面で読者に知らせているだけだ」と語った。
原則、情報の管理と発信は本庁で一元化している宮古の現状については「県や地元自治体との連携が取れているかが疑問。それぞれに役割がある中では互いに情報を共有しなければ対策は取れない。コロナの封じ込めも難しくなってしまう」と指摘した。