情報の高密度化要望/下地市長
本庁一元化方式は支持
新型コロナ 情報格差で見解
先島間で生じている新型コロナウイルスに関する情報格差で、下地敏彦市長が25日午前、本紙の取材に応じた。本庁一元化による情報管理を支持し、「感染症に関しては、一元化しないと県民が混乱する」との見解を示した。19日以降宮古地区に限定した形で個別情報の発信を再開した本庁の対応を評価しながら持論を展開した。一方で統一化されない県の発表方式に疑問を呈したほか、発信情報の高密度化を要望。感染経路を含めて、「個人情報が特定されない形で情報を提供しほしい」と強調した。
取材は市役所平良庁舎で行われた。垣花和彦生活環境部長や仲宗根美佐子健康増進課長らが同席した。
情報発信の在り方について下地市長は「感染症に関しては、県が一元化してやるという方式は妥当だ」と強調した。ただ、「宮古や八重山のような離島においては圏域ごと、保健所所管ごとの情報をある程度、個人情報が分からない形で発することはやってもらわないと市民は不安に思う」と情報格差が生じないような取り組みを求めた。「市政を預かる者として対処のしようがない。各保健所ごとに可能な限りの情報は出してほしい」とも語った。
市は、こういった背景事情を踏まえて県の出先機関に要望書を出している。その経緯について「県の発表では宮古島の内実がよく分からない」としたほか、市と報道機関に入る情報の格差を挙げた。これが要因となり、「市民は市役所が情報を秘匿しているという疑念を持っている」とした。
求める情報として、感染場所や感染者の入島目的が観光なのかビジネスなのかといった基本情報、クラスターの発生場所や人数を挙げた。加えて「おおまかな感染経路は知らせてもらわないと市民はずっと不安に思う。これぐらい分かっているはずだ。個人情報を特定しない形で情報を提供してほしい」と述べた。
県の出先機関が独自発表する「八重山方式」への直接的な賛否は避けたが「情報の一元化は守らなければならない」と主張。発信窓口が複数になることで患者との信頼関係が崩れる事態を招き、最悪の場合は調査拒否に遭って感染経路を追えなくなってしまうという県宮古保健所の宮里義久所長の考え方を支持した。
宮古地区に限って症例ごとに発表する本庁の対応にも触れ、「良い傾向だ」と評価した。「これはずっと続けてほしい」と述べた。
同日は県宮古事務所の金城聡所長も本紙の取材に応じた。地域における情報共有の意義は認めながらも八重山の独自発表方式については疑問視し、本庁一元管理の妥当性を強調した。