赤飯配布、踊りで祝福/池間島
コロナ禍 敬老会中止で新形態
21日は「敬老の日」。例年なら敬老会でにぎわう季節だが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で中止が相次いでいる。そんな中、池間島では自治会役員らが対象世帯の1軒1軒を訪ねて回り、赤飯や酒、菓子を振る舞った。なるべくそばに寄らないように注意しながら祝意の舞も。工夫を凝らした新しい祝いの形が各世帯で見られた。迎え入れる高齢者は大喜び。コロナ禍にあっても、長寿の先輩を敬う島の文化に感謝の言葉を繰り返していた。
敬老会は、島の一大行事の一つ。市主催のほか、自治会単位でも開かれるなど大切な催しだ。特に自治会の敬老会は盛大で、招待するお年寄りにごちそうを振る舞い、歌や踊りでもてなす風習が各地にある。
そんな敬老会が、今年は開けない。新型コロナに感染すると重症化するリスクが高い高齢者を一堂に集められないのが理由で、どの自治会も今年は会の開催を見送るものとみられる。
このような中、多くの自治会が対象世帯に祝いの品を届けて回るという形を取り入れている。上野地区の自治会役員は20日に配って回った。敬老会は開けなくても、「何らかの形で長寿を祝いたい」という地域の思いをくみ取っている。
池間自治会も、そんな取り組みで島の高齢者240人の長寿を祝った。自治会役員の3人と支援を申し出た昭和35年生3人で対象の約200世帯を回った。
敬老会会員名が書かれた冊子と赤飯、菓子、酒を配った。冊子には池間島とゆかりのある人たちが広告を掲載。これで得られるお金が祝いの品を買いそろえる原資になった。住人の寄付もあったという。まさに島全体の取り組みだった。
各訪問先で長寿を祝った仲間広二会長は「敬老会が開けないのは残念だが、自治会としてできることで長寿を祝いたかった」と話すとともに、すべての寄付者に大きな感謝を込めた。
祝いの品を受け取った村山孫一さん(86)は「みんなと会えないのはいつもと違うから寂しいよ。顔を見て酒が飲みたいね」と心境をぽつり。それでも「祝いの品はありがたい。家で楽しみたい」と笑顔だった。
数え70歳の波平伊保子さんも「敬老会がないのは残念だけど、自治会がこうして祝ってくれるのはありがたい」と感謝していた。