本土路線 回復基調が鮮明に/10月輸送実績
JTA羽田線は前年超え/「Go To」など後押し
首都圏と宮古島を結ぶ本土航空路線の回復基調が鮮明だ。10月の実績は日本トランスオーシャン航空(JTA)、全日本空輸(ANA)ともに好調で、JTAの羽田―宮古は前年同月を上回る利用実績だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で冷え込んだ航空業界だが、政府の「Go To トラベル」等で高まる国内旅行需要を背景に勢いを取り戻しつつある。島内では、感染防止対策と観光振興を両立させた新しい動きが活発化している。
本土直行路線は、ここ数カ月右肩上がりで推移している。ハイシーズンの7~8月は前年と比べて3~4割にとどまったが、9月には5割前後まで回復、10月はさらに伸びて全体で7割を超える需要が戻った。
新型コロナの感染状況が春先と比べて落ち着いたことや、9月初旬に解除された県の緊急事態宣言などが人の移動に拍車を掛けたものとみられる。10月1日以降、Go To トラベルの対象に東京都を目的とする旅行と同都に居住する人の旅行が追加されたことも国内観光を押し上げた。
このほど発表されたJTAの10月の輸送実績を見ると、羽田―宮古は提供席数の1万65席に対して旅客数は9533人だった。利用率は94・7%(前年94・0%)となり、今年度初めて前年同月を上回った。
JTAの小堀健一宮古支社長は「Go Toで伸びている面もあるが、東京からの利用客は9月の段階で戻り始めていた」と、上向く国内観光の高まりを利用実績回復の要因に挙げた。
羽田線のほか関西や名古屋の直行便、期間によっては福岡線を展開するANAの利用実績も回復基調にある。特に月は本土路線全体で7割まで戻っているといい、とりわけ羽田の動きが活発だったという。
各社勢い付く本土路線だが、人やモノが動けば動くほど感染リスクの高まりが懸念される。宮古島観光協会の平山茂治専務は「観光客が増えることは業界にとっては良いことだ」と期待を寄せる。一方で「感染リスクが高まるという可能性はある。受け入れ側、観光客ともに感染防止対策を徹底してほしい」と話した。