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社会・全般
川満 きよみさん(49歳) /バスガイド
「バスの中は私のステージ」
♪ようこそ宮古島へ…と歌いながら、発車するバスの中で観光客と向き合う。高校生から老人会までさまざまな団体に合わせてマニュアルを変えていく。「とにかく、寄せ集めのツアーであろうと、このバスに乗った以上は一つの仲間です。宮古島を堪能していただけるように、精いっぱいお付き合いするだけです」
20年余のキャリアはベテランの域に。マイクを握ると、そこはオンステージ。笑いあり、涙あり、時には辛口も飛び出す。団体の年齢層を見て話の内容や演出を考えるのも楽しみの一つだという。マニュアル通りにいかないのが“きよみ流” 。地元の団体には方言のオンパレード、アドリブで全体を笑いの渦に引き込む天性のものがある。
いつも凛とした中に太陽のような明るさがあるのは、沈む夕日の悲しさを乗り越えたからだった。2歳で両親が離婚、母に引き取られたものの、火事で大やけど、瀕死の状態に。その時残った右手のケガで小学校ではいじめられた。母親は沖縄本島に働きに出たため祖母マツに預けられる。16歳で結婚、4人の子をもうける。25歳で末っ子の親離れを機に、何か仕事を見つけなくてはと思ったのが社会への進出だった。
最初は生命保険の営業から始まる。家の中しか知らなかった反動か、人との触れ合いが楽しくて、あっという間の3年間。そのころ、宮古の観光が徐々に脚光を浴びるようになり、バスガイドの養成などが始まっていた。そんな時何気なく広げた新聞広告の募集に心が動く。それがバスガイドとの出会いだった。
「マイクを持つと世界が変わるんです。天職かもね」と楽しそうに笑う。順風満帆ではなかった出生だったが、その後の人生は、祭祀の神役(アーグシャー)でもあった祖母の教えが、道を誤らずに今日までやってこれたと述懐。「おかげで大好きなこの仕事に導かれたことを深く感謝している」
川満 きよみ(かわみつきよみ)1961年4月8日生まれ。86年、住友生命入社。89年、協栄バスに入社。90年から泊高校通信課程に入学。夫・昭一さんとの間に2男2女。