「懸命に生きること」大事/池間哲郎さん講演
貧困国の子どもたちの現状紹介
宮古島市上野出身でNPO法人アジアチャイルドサポート代表理事池間哲郎さんの講演会が23日、マティダ市民劇場で行われた。ごみの山で生きる子どもたちや親のために売られていく娘たち、マンホールに住む子どもたちなど、アジアの貧しい国々に住む幼い子どもたちの現状を紹介。「どんなに苦しくても一生懸命に生きていることを知ってほしい。貧しい国の子どもたちを助けるということではなく、最も大切なボランティアは自分自身が一生懸命に生きることだ」と訴えた。
演題は「懸命に生きる人々~日本人こそ学んで欲しい~」。講演で池間さんは、フィリピンやカンボジア、ミャンマー、モンゴルなどで暮らす子どもたちの様子を写真や映像で紹介した。
栄養失調で腹が膨れた子どもや体のあちこちに傷があり膿が吹き出ている子ども。それでも「家族が幸せであればそれで良い」「学校に通い勉強したい」と笑顔を見せる子どもたち。フィリピンのごみ捨て場で暮らしている少女は「私の夢は大人になるまで生きること」、カンボジアの少年は「一度で良いからお腹いっぱいご飯を食べてみたい」と話したという。
「貧しい国に日本の若者たちを連れていくと『俺が助けてやる』『俺が解決してやる』などと叫ぶ人が多いが、とんでもない」と池間さん。「毎日生きるか死ぬかの生活を乗り越えてきた人たちの心は、私たちよりもはるかに上」と述べ、相手を尊敬することが大切だと呼び掛けた。
「最も大切なボランティアは自分自身が一生懸命に生きることだ」と強調。これは自分の体験から学んだことと言い「自分自身が一生懸命に生きれば、自分と相手の命の尊さが分かる。真剣に生きる人だから相手の痛みや悲しみも胸に伝わってくる。これは国際協力あるいはボランティアだけでなく、人生すべてに通じることだ。私は本気でそう思う」と語った。
同講演会は、2010年度地域人権啓発活動活性化事業で、市と宮古地区人権啓発活動地域ネットワーク協議会が主催した。