人工内耳、多くの人が認知を/トライアスリートの加藤さん
市長に理解と協力呼び掛け
人工内耳を装着したトライアスリートで、東京オリンピックの聖火ランナーとして宮古島市内を走る予定だった加藤伸一さん(61)が27日、妻の真理さんと一緒に市役所に座喜味一幸市長を訪ね、新型コロナウイルスの感染拡大で島内での聖火リレーが中止になったことを残念としながらも、人工内耳を多くの人に認知してもらうことについて市に理解と協力を求めた。
聖火リレー中止について、加藤さんは「応援してくれた人たちへの感謝の気持ちや子どもたちにオリンピックの素晴らしさ、グローバルな視点を持つことの大切さを聖火リレーで訴えたかったが中止の判断は仕方がないと思っている」と話した。
その上で「聖火ランナーに応募したのは走ることが目的ではなくて、人工内耳のことを多くの人に認識してもらい、聴覚障がいを持っている人に希望を持ってほしいとの思いだった」と訴えた。
座喜味市長は「聖火リレーを楽しみにしていた人たちには本当に申し訳ない思い。できれば別の形でできないか最後まで調整をしたが中止の判断となった。トライアスロンも2年連続で開催できていない。コロナが収束すれば島が元気になるイベントを積極的に開催したい」と、話し理解を求めた。
2017年から宮古島に移住している加藤さんは、横浜生まれ。進行性感音性難聴で32歳の時に完全失聴した。
その後、蝸牛型耳硬化症であることが判明。人工内耳の手術を実施して成功した。
完全防水型の人工内耳を使用して国内外のトライアスロン大会に出場しながら、積極的に人工内耳の認知拡大活動を展開している。
人工内耳 手術については、耳の後ろをほんの数センチ切開するか、耳の穴からだけの施術で済む場合がほとんど。日帰り手術も可能で、2~3日の短期入院、通院が難しい場合でも2~3週間の入院と、患者の状況に応じて対応しているという。
以前の耳鼻科では、もう治らないと宣告された人でも、最先端の医療技術により治療の可能性は広がっている。