面積は全体の6割弱に/20-21年産サトウキビ
夏植え栽培は4割以下
宮古島市における2020-21年産のサトウキビは3期ぶりに30万トンの大台を超えた。各製糖工場の搬入実績をまとめると、株出し栽培の反収(10アール当たり収量)が約6トンと伸び、夏植えも8トンを超えるなど今期の豊作を裏付けた。ただ、作型の偏りが進む。株出し栽培の面積は全体の6割弱に達し、糖業関係団体が5割を維持したいとする安定収量の夏植えは4割を切るなど一定の課題も残した。
今期の株出しの栽培面積は2739ヘクタールで、全体に占める割合は56・4%。夏植えは1766ヘクタールで36・4%と4割を切った。春植えは353ヘクタール(7・3%)。
収量は1年半栽培の夏植えが優位で、反収は各地区とも8トン以上を出した。中でも下地が8・7トン、上野が8・5トンと高い。全体の生産量は14万5000トンを超える実績を挙げた。
一方、1年栽培の株出しの反収は6トン前後。面積が比較的小さい城辺長間地区を除くと、上野の6・3トンが最も多く、伊良部と下地の6・2トンが続く。平良と城辺も6トン近く、株出しの収量は総じて伸びた。全体生産量は16万2900トンに及んでおり、面積の広さで夏植えをしのいだ。
これらの数字が示すように、今期のサトウキビは天候に恵まれて全体的に生育が良好だった。干ばつや台風接近など大きな自然災害がなかったため、年間を通して順調に伸長した。
結果として、市全体の生産量は32万7000トンを超え、多良間を含む宮古地区全体では35万トンに達するなど3期ぶりの豊作だった。
ただ、安定的な収量が期待できる夏植え栽培の比率が4割を切ったことは課題の一つに挙げられる。このまま株出しが伸びれば、相対的に夏植えの比率が下がり続けるため、関係機関が対策を取り始めている。
市は今年度、新植夏植え限定の補助事業を新規で実施する。全茎式プランターなど機械で夏植えを行う農家に補助金を出す。生産者の高齢化に伴う労働力の減退を補うとともに、安定的な夏植えの比率を上げていくための取り組みで、その事業効果が注目される。