スプリンクラー、今夏稼働/伊良部島初、地下ダム利用
魚口地区7ヘクタール、徐々に拡大へ
地下ダムからくみ上げられた農業用水の伊良部島での散水が8月にも始まる。伊良部島では給水施設(Ⅲ型)が1カ所整備されているが、スプリンクラー(Ⅰ型)による農地への散水は初めて。ほ場整備事業が進められている市伊良部長浜の魚口地区(59ヘクタール)のうち、かんがい施設が整備された7ヘクタールで始まる。伊良部島では今年度で上原北地区(24・5ヘクタール)でのほ場整備事業が採択されており、島内でのかんがい施設整備が拡大していく。
国営事業は67%の進捗
伊良部地区さとうきび生産組合の池間藤夫組合長は「伊良部島での地下ダムの利用は送水の問題があって、宮古島に比べ大きく遅れている。橋ができたことでファームポンドで水をためるところまできた。かんがい施設が徐々に整備されることで夏場の干ばつ被害も解消されていく。本当に首を長くして待っていた」と喜んでいる。
市城辺に仲原地下ダムと保良地下ダム、幹線用水路を整備する第2期国営地下ダム事業(2009年着工)の21年3月末までの進捗(しんちょく)率は事業費ベースで67%に達している。
沖縄総合事務局宮古伊良部農業水利事業所(當銘俊明所長)によると、仲原地下ダムは延長ベースで66%の進捗。用水路の進捗は73%。保良地下ダムは来年度以降に着手する。仲原地下ダムは全延長2・35キロのうち1・54キロが完了、用水路は総延長55キロのうち40キロが完了している。総事業費は523億円でこれまでに351億円を投じた。
今年度当初予算は43億5000万円、前年度補正が3億円あり、合わせると今年度事業費は46億5000万円となる。
地下ダム事業は地下ダムと幹線用水路、ファームポンド(貯水槽)などの整備を国が担い(国営事業)、ほ場、引き込み用水路、かんがい施設の整備を県や市町村が担う(県営、団体営事業)。
伊良部島への農業用水は仲原地下ダムから上野野原の宮古吐水槽、伊良部大橋を経由して牧山ファームポンドに送られる。