3本柱で防波堤構築へ/「現状に正しい理解を」
自己免疫、「3密」回避、ワクチン接種/新型コロナ
新型コロナウイルスのワクチン接種が進む中で、県内ではここにきて感染者が急増している。その影響を受けて宮古島もいつ感染者が急増する状況になるのか、島民は不安な日々を送っている。まだまだ先行きの見えない状況が続いている中で、こうした現状における正しい理解と認識について、宮古地区医師会の竹井太会長に話を聞いた。
竹井会長(地区医師会)呼び掛け
■防波堤
新型コロナとの向き合い方について、竹井会長は三つの要素を柱にした「防波堤」を提唱する。
その要素は、▽自己免疫力▽マスク、手指消毒、3密回避などの対策▽ワクチン接種-。この三つで構成する「防波堤」の高さを常に高く維持することで感染拡大の被害を極力抑えられると主張する。
さらに、従来型よりも感染力を強めたデルタ株などに対してもこの「防波堤」で立ち向かう必要があるとしている。
■自己免疫
これまでの新型コロナに関しては、マスク着用や3密回避の徹底で、感染をある程度抑えることができたとする一方で、こうした状況が長期化していることの影響も危惧する。
竹井会長によると、コロナ禍以前の日常生活では、マスク無しで日々生活し、個々人が普通にばい菌やいろいろなウイルスなどにさらされることで、その人の体力に合わせた自己免疫をつくってきたという。
竹井会長は「マスク着用が長期化したことで、免疫能力の『のびしろ』も減っていると思われる」とし、免疫力が落ちると必然的に個人としての「防波堤」の効力が落ちることを指摘する。
この自己免疫については「まずはマイナス要因を無くすことが大切、そのためには健康になること。散歩や軽い運動をしたり、屋外の誰もいない所でマスクを外して自然の空気を吸って免疫に力をつける。そして、足を引っ張る要因である基礎疾患をしっかりとコントロールしながら防波堤の高さを維持する必要がある」と訴えた。
■ワクチン
新型コロナウイルスは、変異株へと移り変わり、現在はより感染力の高いデルタ株が主流になってきた。
対抗するウイルスが強くなるということは、これまでの自己免疫とマスクなどの予防対策だけでは、簡単にその防波堤は乗り越えられてしまうことから、ワクチン接種の必要性を強調する。
「こうして徐々に強くなるウイルスに対しては対抗手段としてワクチン接種は必要。いろいろな意見はあるが、接種しないとウイルス側の思うつぼの世界が待っている」と警鐘を鳴らす。
■これから
ワクチンを接種しても、完全に感染を防げるわけではない。個々人の「防波堤」も、若い世代とお年寄りや基礎疾患がある人たちとではその高さも強さも違う。
そうした状況がある中で竹井会長は「まだまだ、新型コロナの嵐は続いており、ワクチン接種が今後進んでもしばらくは、この『防波堤」を構築する三つの柱は維持することが重要」と訴える。
さらに「これから、この島の社会を守るためにはワクチンも打つし、予防対策をこれまで同様維持しながら個人の免疫を強くするだけでなく、島に入ってくる人たちのチェックもする。そうした防御方法を責任ある人たちは考えないといけない。そうすればこの島により安全で安心できる場所と時間が確保できるようになる。島全体でその環境を構築する必要がある」と話した。