搬入制限に大きな疑問/供用9年、貯留槽稼働なし
市 施設機能を十分把握せず/し尿の下水道投入施設
市が2012年に供用開始した市平良荷川取のし尿等下水道投入施設内の貯留槽が9年間稼働していないことが分かった。し尿を一時的にため置くための160キロリットルの槽が2基あるが、現在の市職員はその規模を十分に把握していなかったという。貯留槽が稼働すれば搬入制限の必要はなくなることから、18年に下水道の終末処理施設(OD槽)の処理能力を理由に、一般家庭などからの処理業者によるバキューム車の搬入を一時期制限したことに大きな疑問符が付く。
市のし尿処理はクリーンセンターの建て替えの際に、公共下水道の処理施設に希釈して投入する方式に変わった。市には現在、し尿処理施設はない。12年から公共下水道の施設を借りて処理している状況。当初から投入を日量50キロリットルに制限しているが、下水道の加入世帯の増加に伴って全体の処理量が増え、18年には一時期、貯留槽を稼働させることなく処理業者の投入施設への搬入を制限した。
31日に開かれた市議会のし尿等処理施設整備事業に関する調査特別委員会で、貯水槽の存在や稼働がなかったことについて友利克生活環境部長は「大いに反省しなければならない。どのような経緯でそうなったか、担当課に調査させたい」と答弁した。担当課の職員は「今年度になって把握した」と述べ、「使わなくても、これまで稼働しなくても処理できていたので、貯水槽を使うという発想に至らなかった」と説明した。
担当課長によると現在、市が進めているし尿処理施設の整備事業に関連した投入施設の委託業者との調整の中で、貯留槽の規模を把握したという。貯留槽を稼働させることで、新しいし尿処理施設が完成するまでの間、搬入制限をせずに処理できると見通しを立てている。