贈賄側前社長に有罪判決/陸自用地めぐる贈収賄事件
懲役1年6月、執行猶予3年
【那覇支社】宮古島市上野の陸上自衛隊駐屯地の用地取得をめぐる贈収賄事件で22日、那覇地方裁判所は贈賄側の千代田カントリークラブ(CC)前社長、下地藤康被告(65)に対し、懲役1年6月、執行猶予3年の判決を言い渡した。弁護側は、「判決を重く受け止める」などとして控訴はしない方針。
大橋弘治裁判長は、量刑について「賄賂の現金捻出のため裏金を作るなど自発的・能動的に犯行におよび、多額の現金を供与して市長の職務の公正を害し、市民の信頼を損なわせた」と強調した。
その上で、「事実を認め反省を示し、一定の社会的制裁を受けている。前科前歴がないことなどを考慮すると、刑事責任の重さを明確にした上、その刑の執行を一定期間猶予するのが相当」と説明した。
弁護側は、執行猶予付きの判決に対し「妥当な判決だ。被告人が反省していることも考慮されていると思う」との認識を示した。控訴については、「控訴しないと事前に決めた。これ以上争うことはない」と述べた。
藤康被告は、7月19日の初公判で起訴内容を認めている。8月30日の被告人質問では、負債約8億円を抱える中、倒産を避けるため、下地敏彦被告に「必ずお礼はします」と、土地が売却されるよう何度も陳情したと述べていた。渡した現金600万円は、用地売却の謝礼や、今後も便宜を図ってもらおうとの認識だったなどとした。
8月30日の結審で、検察側は、犯行は市、国、社会に及ぼした影響は大きく、刑事責任は重いなどとして、懲役1年6月を求刑していた。
一方、弁護側は、本件は大々的に報道されるなどすでに社会的な制裁を受けており、再犯のおそれは認められないとし、執行猶予付きの判決を主張していた。
同事件では、宮古島市前市長の下地敏彦被告(75)も収賄罪で起訴されている。
那覇地裁によると、敏彦被告の初公判期日はまだ決まっていない。